松本でオウム“大執行”の記録映画 トークイベントも

事件当事者の苦悩

死刑について考える記録映画「望むのは死刑ですかオウム“大執行”と私【告白編】」(2022年)が9月9日、松本市Mウイングで上映される。オウム真理教事件の被害者側、加害者側双方の当事者4人が、死刑について複雑な胸中を語る様子を記録。上映後に長塚洋監督(65、東京)と、信者に殺害された坂本堤弁護士の同僚だった、岡田尚弁護士のトークイベントがある。
作中に登場するのは、「死刑反対」の信念と復讐(ふくしゅう)感情とのはざまで苦悩する岡田弁護士のほか、オウム事件の被害者弁護や脱会支援に取り組み、松本智津夫元死刑囚(教祖名・麻原彰晃)の刑執行を強く主張してきた滝本太郎弁護士、信者の教団脱会を支援する一方で加害者側の痛みを背負う「オウム真理教家族の会」の永岡英子さん、松本元死刑囚の弁護を担当し、死刑制度廃止を訴える小川原優之弁護士の4人。
18年7月、オウムによる一連の事件に関わった教団元幹部ら死刑囚13人全員への死刑執行直後、長塚監督は岡田弁護士、永岡さん、小川原弁護士を招いたトークイベントを開催。そのイベントの記録映像や、岡田・滝本両弁護士が死刑について議論する場面などを交えながら、今作を完成させた。
「死刑の話をすると、すぐ『賛成か、反対か』となるが、果たしてわれわれは自分の考えを決められるほど十分に、死刑について知っているのか。裏付けのない感情で賛否を決めていないか」と疑問を投げかける長塚監督。「賛否にかかわらず、当事者の多様な胸中に触れ、死刑について深く知り、考え、揺れ悩み、それを土台に議論を出発させる必要がある。当事者と話せば話すほど、単純に『賛成』『反対』と言えないことが分かってくる」と話す。
午前10時半と午後7時。岡田弁護士は午前の回の上映後のみ登壇する。前売り、大学生以下の学生1400円、当日1800円。詳細は主催のNPO法人松本CINEMAセレクト(事務局・山形村)ホームページ。TEL0263・98・4928