創作料理店営む 荒井さん姉妹 仕事も介護も店も生き生き生活楽しむ

松本市中条の住宅地にある、日本食をメインにした創作料理店「ボングスタ」。双子の姉妹、荒井美保さん、美佐さん(共に54)が、実家の離れをリノベーションして始めた隠れ家的な店だ。店名は、宮沢賢治の小説にも出てくるエスペラント語の「おいしい」。二人は家族の介護や別の仕事をこなしながら、生き生きと暮らす道を歩む。
二人の知人で、腕前と人柄にほれ込んでいた早川啓一さん(59)をシェフに迎えた。旬の食材をメインに野菜を豊富に使い、素材の味を生かした創作料理を出す。ランチ(1500円)は肉と魚の2種類で週替わり。夜はアラカルトもあるが、3千円(税別)からのコースがお薦め。土日の朝は、朝定食と参鶏(サムゲ)湯(タン)風のおかゆ(千円)がある。会議や法事などの貸し切りや、テイクアウトの弁当も対応する。
しばた養鶏(塩尻市)の放し飼いの自然卵2種類で作った、プリンの食べ比べセットも人気だ。1階はテーブルが四つ。16人まで利用できる。2階には和室が一室ある。
荒井さん姉妹は、それぞれ人と関わる仕事をしていた。美保さんが飲食店に勤めていたこともあり、漠然と「いつかお店を」と思っていた。2年前に父親が他界、家を片付けるタイミングで母親が体調を崩した。介護生活が始まり、離れだった場所を人が集まる店舗にしようと決めた。
他に仕事を持つ美保さんはオーナーで、土日曜は店に立つ。美佐さんは店を切り盛りしながら母の介護もする。「夜の営業中、母はバックヤードに座っている。人の気配がする場所が楽しそうだし、知り合いが来ると声をかけてもらえる」と美佐さん。「介護をしていても生活を楽しんでいる」と充実感を語る。
演奏者との音楽イベントや、店が休みの月曜に菓子を作る知人と「ハッピーマンデーカフェ」を開く試みも。美佐さんは「ご縁がつながった人たちと、お客さまに楽しんでもらえるさまざまなコラボイベントを企画したい」と話す。
午前11時半~午後2時、6~9時。日曜の夜と月曜定休。朝食は土日曜の午前7~9時。インスタグラムから。