生坂村特産品のブドウ。出荷のピークを迎え、「道の駅いくさかの郷」などにさまざまな品種のブドウが並ぶ。昨年度まで生坂村地域おこし協力隊員だった40代の男性2人が村内に定住し畑を借りて、ブドウ農家としてそれぞれ独立した。道の駅や、ファーマーズガーデンあかしな(安曇野市)などに初出荷し、手応えを感じている。出荷は10月中旬ごろまで続く。
生坂村の、降水量の少なさはブドウ栽培に適しており、昼夜の寒暖差は糖度を高めるとされる。巨峰やシャインマスカットなど、たくさんの品種が栽培、出荷されている。
農場「gems.grape(ジェムズ・グレープ)」の服部真司さん(49、日岐=写真右)は、妻のゆり子さんと夫婦で営む。農場名はブドウの粒それぞれがきらめく宝石=ジェムをイメージして名付けた。11品種を栽培。
上田市出身の安藤哲雄さん(43、下生野=写真左)は、「名産のブドウを通して地域に貢献したい」と意気込み、10種類を育てている。
2人は、協力隊員として営農管理や農業支援を行う中で、同村農業公社の「農業研修制度」で3年間、ブドウ栽培技術を学んだ。初めての収穫作業を迎え、両者とも「出来は上々」という。
服部さんは愛知県で自動車部品製造の会社に勤めていた。ものづくりが好きで、品質にこだわってきた。果物もものづくりという点では共通。一房一房丁寧に育てる。「適した環境の中で育ったブドウのおいしさや品種の多さを知って」と、詰め合わせセットを販売。オンラインショップもある。
安藤さんは、農業に興味があり、東京でのサラリーマン生活に区切りを付け、2019年に協力隊員になった。当初は生坂で農家になるつもりはなかったが、日々の活動を通して地域の温かさに触れ、「恩返しがしたい」とブドウ農家に。「スーパーでは見ない品種もたくさんある。ブドウから村全体に興味を広げてもらえれば」と意気込む。