ユースアカデミー(育成組織)の選手が生活する松本山雅筑摩寮(松本市筑摩4)に9月、スポンサー企業からマットレスが贈られた。寮で提供される食事も、9月中旬から専門業者による運営がスタート。山雅の未来を育てる環境の整備が、外部の力を借りて進んでいる。
マットレスを提供したのは、寝具生産・販売会社の音部(おとべ)(愛知県蒲郡市)。サッカーの経験がある水藤(すいとう)賴利社長(46)が、長野県内での販促活動も兼ねて、提案したという。
製品は、発達段階にある育成年代の体に合わせて用意した。3日に寮で行われた贈呈式で水藤社長は「アスリートとして睡眠環境への意識を上げてもらえれば。これからもサポートしたい」。山雅運営会社の鐡戸裕史・総務部長兼育成部長(41)も「寝ること、そして体のケアの大事さを、改めて選手に伝えたい」とした。
高校年代の山雅U─18(18歳以下)のうち、およそ6割の26人が寮で暮らす。敷布団やマットレスはこれまで自前だった。食材以外の物品が寮に提供されるのは初めてといい、鐡戸部長によると、受け入れには社内で議論があった。「選手が『山雅にいればモノがもらえる、いい環境が与えられて当たり前』というマインドになるとよくない」といった意見を踏まえ、「貸与」の形をとるという。
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食事の提供は、関西大サッカー部など学生スポーツで実績があるフィジカルコントロールセンター(大阪府吹田市)が担う。これまで寮の食事は運営会社が雇う2人の調理人が作っていたが、勤務体系により提供されない日があった。業者が運営することにより、朝夕2食が毎日寮で食べられるようになる。
いずれは昼の弁当を含む3食すべてを賄ったり、練習後に寮生以外の選手も食べられたりするようにしたいという。ピッチ内外の育成環境について、鐡戸部長は「鍛える、食べる、休むのいいサイクルをつくりたい」と話している。