松本山雅FCの育成組織(ユースアカデミー)のチームが今季、好成績を挙げている。U-15(15歳以下)は23日、北信越リーグで県勢として初優勝を果たした。前日にはU-18がプリンスリーグ北信越2部で2位以内を確定し、1年での1部復帰を決めた。
U-15の戦績は断トツだ。23日で18勝1敗。得点101、失点10はともにリーグベスト。唯一の黒星を喫した2位ツエーゲン金沢に残り3試合で勝ち点10差をつけた。
この日、松本市サッカー場での長岡JYFC(新潟)戦も圧倒的だった。元山雅DF田中隼磨さんの息子MF田中琉磨(るうま)と、MF林純平のハットトリックなど今季最多の13得点、無失点で大勝した。
主将のMF大野田和希は「サッカーを楽しんでいる。互いのやりたいことを認識し、連係できている」と好調の要因を話す。
大野田は今月のU-15日本代表合宿に参加し、田中と林はナショナルトレセンの選出経験者。さらにこの試合は欠場したが、FW吉澤凰河(おうが)はU-14からの飛び級ながらリーグ最多の26点をマーク。逸材がそろい快進撃につながった。
就任1年目で結果を出した柿本倫明(みちあき)監督(47)は、J参入前の山雅で活躍したストライカーだが、練習では「まずは守備から」と要求。攻守の切り替えの速さを重視し、「選手は戦術ののみ込みがすごくいい」と手応えを語る。
優勝で12月の全日本選手権出場が決まった。8月の日本クラブユース選手権はグループステージを突破したが、決勝トーナメント1回戦で敗退。大野田は「悔しかった。全国16強を目標に活動しているのでリベンジしたい」。チームは喜びも控えめに先を見据える。
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U-18は8勝3分け1敗でリーグ首位。残り2試合で、3位帝京長岡高校3rd(新潟)とは勝ち点差7。唯一敗れた松本国際高が同4の2位に付け、次節に直接対決(28日午前10時半、松本平広域公園サッカー場)がある。
体力や技術磨きかけて―岸野靖之アカデミーダイレクター
育成組織を統括する岸野靖之アカデミーダイレクター(66)に好成績の要因を聞いた。
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今年のU-18は「絶対に1年で1部に戻る」を合言葉に週2回、登校前の朝練習を始めた。筋トレは、みんなが必ずやるという意識で取り組んだ。コミュニケーション力を鍛える「3分間スピーチ」も取り入れた。
練習そのものの強度を上げ、特に走り込みを増やした。今のサッカーは走れないと戦えない。けがも少なくなる。今季は試合で走り負けることはなかった。選手は「やれる」と自分を信じてプレーできたんじゃないか。
U-15は、質の高い選手がそろった。13、14、15のカテゴリーを超えて飛び級で鍛えてもいる。年齢にとらわれず能力で編成したチームで、柿本監督が個人の特長を生かしている。ただ、全国レベルでは個の力はまだまだ。プロを目指すには、これからが大事だ。