松本市のJR松本駅お城口(東口)の利用者が、エスカレーターではなく左右にある階段を利用したら健康増進につながるのでは─。そう考えた松本県ケ丘高校探究科2年の森遥紀(はるき)さん(17、惣社)は10月、関係機関の許可を得て、階段に仕掛けを施す計画を立てている。
その仕掛けとは、「松本といえば松本城上高地」と書かれたステッカーを左右の階段に貼ること。ステッカーの左半分に「松本城」、右半分に「上高地」と大書することで、歩行者が投票行動に参加するような趣向だ。改札へ向かおうとする人が、設問に興味を引かれて思わず階段を利用することを狙い、「松本駅投票式階段」と銘打った。
計画では10月14日から1週間、ステッカーを貼り、帰宅時間帯の午後5~8時に毎日、階段とエスカレーターの利用者数をそれぞれカウント。設置期間前後の1週間も同時刻に数える。
ステッカーを貼ることで階段利用者が増えるのか、増えた場合はステッカーを外した後も階段利用が習慣化するのかが検証ポイント。「投票式階段が、健康づくりのきっかけになればうれしい」と森さん。
昨年、父親が体を痛めた時、「意識して運動するのは敷居が高い。無意識のうちに運動ができるようなきっかけをつくれないか」と思ったのが、今回の取り組みの動機。調べていくうちに、仕掛けによって人々の自発的な行動を促す「仕掛学」という研究分野があることを知り、2019年にJR大阪駅(大阪市)の階段で行われた実験を参考に、松本駅でもやってみることに。駅や階段の管理者である市の許可を取り付けた。
ステッカー設置費用に約30万円が必要で、9月30日までクラウドファンディング(CF)サイト「CAMPFIRE(キャンプファイアー)」で募っている。目標額に達しなくても、寄付金の範囲内でできるよう工夫し、実行にこぎ着けたいとする。
「できれば設問を変えながら、継続的に実施したい。まずは第一歩」と力を込める。