多種多様な曲皆で持ち寄り
昭和時代に流行し、最近は若い世代でも「格好良い」と、再ブームになっているアナログレコード。家に眠っているレコードを持ち寄って、みんなで聴こうというイベント「推しレコ」が、大桑村図書館(同村長野)で毎月第1土曜日に開かれていている。アナログ盤の奥深い魅力を探りに、会場を訪ねた。
昨年から始まり、取材日の9月7日が15回目。毎回テーマを設けており、この日は「主題歌」「劇中歌」だ。
図書館奥の1室が会場で入り口には関連図書も並ぶ。まずは参加者が持参したLP盤やEP盤などのレコードを机に並べて披露。「太陽にほえろ!」などのドラマ主題歌や「アルプスの少女ハイジ」などのアニメソングのほか、映画音楽やプロレスラーのテーマ曲集など多種多様。個性的なジャケットデザインや、パッケージの中の曲解説などを見ているだけでもワクワクする。
再生する機器は、1980年代半ばにはやった「バブルコンポ」と呼ばれるステレオ・オーディオセット。米国のファンクバンド、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの代表曲で、何本かの映画にも使われた「セプテンバー」でスタートした。
音楽を聴きながら参加者の会話も弾む。ほぼ毎回、参加しているという新谷和孝さん(59、同村長野)は、レコード世代の「ど真ん中」。現在は自宅にプレーヤーがないため、しまい込んでいたレコードを、この場で聴いて楽しんでいる。
面白そうなレコードを中古店で探すこともしており、「昔、聴いていた曲はその頃を思い出す。持ち寄りなので、自分が聴かなかったジャンルもあって楽しい」。レコードへの愛着を語る。
オーディオ愛好家の勝野徹さん(80、同村野尻)は「レコードは一人でひそかに楽しむものだと思っていたが、こういう会ができてうれしい」と笑顔。映画「ゴーストバスターズ」のピクチャー盤(表面に写真が印刷)や、ギタリスト、高中正義さんのカラー盤(黒以外の限定色)など珍しいレコードを持参した。
5日のテーマ「推しジャケ」
記者が、古いレコードを見ながら「劣化しないのか」と聞くと、汚れは落とせば大丈夫で、盤が反っていなければ音は出るとのこと。実家で眠る山口百恵さんのLP盤なども「再び聴けるかも」と、期待を抱いた。
この日は20~80代の9人が参加し、3時間で約80曲を聴いた。レコードを手に取り、プレーヤーにセット。針を落とし、心地よいノイズとともに流れてくる音色に耳を傾ける|。スマホでも音楽が聴ける時代に、このアナログな行為がとても魅力的に感じた。
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「推しレコ」会は「静か過ぎて、少し行きにくい」という図書館のイメージを、「BGM代わりにレコードをかけて変えてみたい」と、司書の牧野大地さん(27)が企画。牧野さん自身もこの会がきっかけでレコードに魅せられ、コレクションが急増中という。
牧野さんは「人の交流も図書館の役割。これからも工夫しながら続けたい」と話す。
次回は5日午後1~4時、テーマは「推しジャケ」。申し込み不要で参加無料。問い合わせは同館TEL0264・55・2321