5歳と2歳の息子を育てながら、空き時間に刺しゅうを楽しむ降籏麻未さん(35、松本市浅間温泉2)は、マルシェなどで作品を販売するほか、「同世代の子育て中のママさんに魅力を伝えたい」と、自宅で子連れ可能な刺しゅう教室を開いている。月に4回ほど開催、毎月延べ50人ほどが参加する。独学で始めた刺しゅうから、人の輪が広がる。
刺しゅうと出合ったのは30歳の時。新聞で「刺しゅう」の文字を見て「何だろう」と思った。調べるとキットがあったので、購入。針を刺し、糸で図柄を描く─。これが楽しい。本で技法を学び図案をまねて、独学で作品を作ってきた。
当時は県外で子育て中。わずかな時間で場所を選ばずできるのが魅力だった。コロナ禍で人と会えない寂しさを「刺しゅうが助けてくれた」。完成すると達成感と喜びがこみ上げた。「育児の悩みもあったが、刺しゅうをすると頭がクリアになった」と話す。
2021年、故郷松本市に戻った。作品を見てほしいと思うようになり、昨年2月、子ども2人の名前をつなげた「SOUAN」の屋号で、市内マルシェに初参加。花を刺しゅうしたヘアゴムやブローチなどを販売した。喜ばれると楽しく、新作を考える力になった。出店を続けると知名度も上がった。
自宅に近い浅間温泉手しごと館で作品を販売してくれることになり、月2回のワークショップも始めた。すると「子ども連れでもいいか」と問い合わせが。「子育て中のママに楽しんでほしい」思いは強く、今年2月から「子連れ可」の教室を自宅で始めた。
道具やデザインなど全て用意して、手ぶらでも楽しめる(2時間2千円から)。経験者向け講座として、子どもが初散髪した髪を一部に使う「ファーストカット刺しゅう」や、手形を花の刺しゅうで残す「手形刺しゅう」も。「たくさんの人と刺しゅうを楽しみたい」。教室のインスタグラム。