
“若い力”で建設業を活性化
「社員の平均年齢が30代の会社。若さを武器に、建設業界を活性化できたら」。こう力を込めるのは総合建設業、大新建設(松本市双葉)の中西理社長(35)だ。社長に就任して2年が過ぎ、経営が軌道に乗ってきたことに手応えを感じている。
大新建設は、創業50年以上の企業。中西さんが同社の社長に就任するまで勤めていた木曽町の製造会社が2022年に大新建設を買収。親会社になった会社の建設事業部で働いていた中西さんが、大新建設の社長に抜てきされた。
大新建設は創業以来、公共事業が経営の柱。同社を引き継ぐまで、民間事業しか扱ってこなかった中西さんにとって公共事業は、参入の仕方など全てにおいて未知の分野。「最初はお手上げ状態だった」と振り返る。
業界の行事や会合などに頻繁に顔を出し、先輩たちに「教えてください」と、素直に頭を下げた。こうした謙虚な態度が受け入れられ、徐々に仕事が入るように。
また、「公共事業一辺倒では、経営が安定しない」と、つてのない松本地域で民間事業にも参入。建設業関連の企業に「片っ端から」メールを送り、自己紹介をはじめ、会社の強みなどをプレゼンテーションした。
その結果現在は、仕事量が5人の社員では「手いっぱい」の状態になりつつある。「うれしい悲鳴。こういう時こそ、信頼を裏切らないように、誠実な仕事をしなければ」と、自らに言い聞かせる。
木曽町日義出身。元々、建設業関係での独立を目指していて、高校卒業後、就職した地元の住宅設備会社などでも施工現場のほか、営業、事務などの仕事を学び、将来に備えた。
そうしたとき、現在の親会社の社長から「建設事業部を立ち上げるので、一緒にやらないか」と、声をかけられ、一からそのプロジェクトに携わった。
「建設業はやりがいのある仕事。そのことを若い人たちに伝え、一緒にする仲間を増やしていきたい」と、先を見据えている。
なかにし・おさむ 1989年、木曽町日義出身。木曽高校(現・木曽青峰高)卒。2022年6月、大新建設社長に就任。