不登校の子どもが全国でおよそ30万人ということが昨秋、文部科学省より発表され話題になっています。小中学生の人口は昨年およそ927万とされており、3・2%程度のお子さんが小中学校に通えていないということになります。これは数字としてカウントされている人数であり、学校に行きづらいお子さんはこの陰にもっともっといることが予測されます。
不登校が増えた理由として、近年は、必ずしも学校に行くことを絶対だとしない風潮となってきたことがよく言われています。「学校に行きたくないなら行かなくてもいいよ」と親や先生が甘やかすから、どんどん楽な方に流れるのだというのです。私は個人的にはこのような論調には断固として抗議します。
学校に通いづらくなったお子さんが本当に不登校になるまでには、お子さんと保護者の方が、どれほど迷い、苦しみ、葛藤し、勇気を出して行動してみてはまた打ちのめされて、絶望し、体が動かなくなるような思いをしてきているか|。前記のような無責任な発言をする方は全くご存知ないのでしょう。よもや知っていてなお、そのように主張されるのであれば、人としての感情が欠落しているのかとさえ思います。
私自身20年ほど、たくさんの不登校のお子さんとご家族に関わらせていただいています。さまざまな個性のお子さんがいる中で、万人に合う教育環境というのは一つには定まらないし、お子さんの成長過程の中で、学校のような場に行かれなくなる時期があることは特別まれなことでもなく必要な時もあるということを、深く強く実感しています。公教育としてほぼ一律の教育環境しか提供できていない現状から、さまざまな個性のお子さんが自分に合った環境で健やかに学び成長する環境をいつでも選べるようになっていったら、不登校でつらい思いをする子どもたちが減っていくのではないかと思っています。
2018年に始めた本連載が、今回で100回を迎えました。読んでいただいている皆さま、お世話になっている関係者の方々に心からお礼を申し上げます。ありがとうございます。