安曇野市PTA活動のひとつ―子ども見守る「青パト」とは

自家用車等に青色回転灯を付けて防犯パトロールをする「青パト」。県内各地でも活動している中、安曇野市ではPTA活動の一環として、保護者が協力して乗車し、子どもたちの下校の安全を見守っています。様子を取材しました。

保護者が協力し通学路の見回り

同市は青パト開始に合わせ、PTA連合会と教育委員会が「通学安全パトロールチーム」を結成。保護者が交代で乗車し、子どもたちの通学路を見守る体制をつくりました。
小中学校(全17校)に置く青パトは計7台。地域の広さと人数を考慮して穂高と豊科地区に2台、三郷・明科・堀金地区に各1台配備しています。ガソリン代、車検、タイヤ交換など維持管理にかかる諸経費やボランティアの保険料は、市が負担しています。
パトロールは下校時間に合わせて20~30分ほど行います。乗車は2人1組で、どちらかが「パトロール実施者証」を所持していれば青色灯を点灯できます。
当番は、学校事務室から鍵を借りて車の運行前点検をし、運転・日誌記入の役割を分担。人通りの多いポイントや事故の多い箇所、前回と道がかぶらないかなどを確認し、回るルートを決めたら安全運転で出発します。
子どもたちが交通ルールを守っているか、道が崩れているなど危険箇所はないかなど、目を配りながらゆっくりとパトロール。必要な場合は車内からマイクで声がけもできます。青パトに気付き、はみ出した車道から路側帯に戻る子もいて、交通安全への意識を高めることにもつながっています。
取材で穂高南小を訪ねた日の当番は、5年3組の保護者、福井由紀子と望月愛さん。「『ちょっと危ないかな』という場面を見かけた時、青パトからだと声をかけやすいです」「青パトにはお母さんたちが乗っていると知っているので、手を振ったり、敬礼してくれる子もいてうれしい。ヒーローになったような気持ちになります」と話しました。
パトロールに携わるボランティアの募り方や人数は学校ごとに異なりますが、昨今のPTA改革などで人員の確保が難しく、稼働日数を減らすなど苦慮している学校も。日誌に記入された特記事項などは月1回、警察に連絡しています。

「見せる防犯」抑止力に期待

安曇野署生活安全課防犯指導係長で青パト担当の矢口護さんの話
「パトカーの形をした車に乗るということで皆さん緊張されるようですが、法的に特別な権限はなく、不審者を見かけたり事件に出くわしたりしても、決して自分たちで何とかしようとせず警察に通報してください、と講習会で伝えています。幸い重大事件に巻き込まれた事例は今のところありません。青パトによる防犯効果は具体的な数値に表れないかもしれませんが、『見せる防犯』としての犯罪抑止効果は確実にあり、町全体として助かっているはず。保護者の方々には、夕方の忙しい時間に都合をつけていただきありがたいです」

【青パト】警察の証明を得て青色回転灯を装備した自動車で、回転灯を点灯させて行う自主防犯パトロール。2004年に全国でスタートし、犯罪や事故、災害の未然防止をはじめ、特殊詐欺や農作物盗難への注意喚起などにも活用されている。使用者は青パト運行の基本ルールを受講後、警察が発行する「パトロール実施者証」を携帯しての乗車が基本。中信地方では他に大北や木曽地域、塩尻市などで活動している。