
木の切れ端から生まれた手工芸品「木片(こっぱ)人形」を展示する「KOPPANINGYOの美’24展」が12~14日、松本市の中町・蔵シック館(中央2)で開かれる。農民美術制作者・山本悦市(1884~1978年)の生誕140年を記念。わずかに残る同氏の作品をはじめ木彫工芸品約40点を展示する。
主催は山本の孫で県民芸協会副会長の竹下賢一さん(73、庄内2)。
竹下さんによると、農民美術運動は農家の副業として1919(大正8)年に神川村(現上田市)から始まり、全国に広がった。戦争に伴い廃れたが、戦後は個人作家が専業で仕事を再開、今日まで受け継がれている。
山本は青木村の出身で26(大正15=昭和元)年、村農民美術生産組合長に当選、42(昭和17)年に組合が解散するまで組合長を務め、登山、スケート、スキーなどの人形を作り続けた。59年の台風7号で母屋や蚕室が流され、木彫の道具も失ってしまった。
展示するのは、山本が30年、全国農民芸術品展覧会に出品し銀牌を受賞した「木彫スケート」(高さ約6センチ)、シガレットケース、上田市立美術館に寄贈した4体のパネル写真、竹下さんが収集したり制作したりした木彫作品など。
竹下さんは「わずかしか残っていない祖父(山本)の作品をはじめ、木片作品の良さを多くの人に知ってもらいたい」と話す。
午前9時半~午後5時(最終日は4時半)。入場無料。