松本市会田の会田御厨(みくりや)神明宮で10月5、6日、例大祭が開かれた。地区住民らが5年ぶりに4基の舞台(山車)を曳行(えいこう)、拝殿前では伝統の「石段上り」を行った。参加者らは掛け声に合わせて懸命に綱を引き、境内は久々の熱気に包まれた。
「せーの、よいしょ」伝統の石段上り
舞台は宮本、新町、本町、西宮の4地区が保存している。曳行はコロナ禍に加えて引き手不足もあり、2020年から行われていなかったが、今年は「何としても伝統の継承を」と、地区の住民や氏子総代らが準備を進めてきた。
5日夜の宵祭りには4基の舞台が勢ぞろい。「石段上り」では「せーの、よいしょ」の掛け声で氏子たちが二十数段ある急な石段のうち数段を上った。かつては上部まで引き上げたが、引き手の減少や舞台の傷みが激しいことなどから、近年は上る段数が少なくなったという。
子どもの頃から祭りに親しんできた地元の堀内恵子さん(51)は「みんなが集まれる祭りの雰囲気がいい。伝統を守っていきたい」。実家が会田で応援に来た池田町の芦沼諒さん(36)は妻の久美さん、息子の大翔ちゃん(2)と共に参加。「楽しかった」という大翔ちゃんを抱きながら「この祭りを大切にしなければ」と思いを新たにしていた。
同神明宮では来年、21年に1度の「式年遷宮祭」が行われる予定。氏子総代会会長の小仁熊久司さん(70)は「今年は来年の前夜祭の位置付け。開始時間を早めるなど、地域の人たちが参加しやすいよう心がけ、良い祭りができた」と話した。