
赤ちゃんとママがほっと一息
産前産後の母親たちの駆け込み寺に─。松本市蟻ケ崎4に「産前産後ケアハウスまんまる」が、10月21日オープンする。助産師の宮岡望美さん(37、同)が念願をかなえた。慣れない土地や慣れない子育てに不安を抱える母親が孤立せず、地域や母親同士の縁がつながる場になれば、と願いを込め「まんまる」と名付けた。
自身は北海道北見市出身で、7歳、4歳、1歳の子育て中。総合病院や産院に勤務した経験があっても、第1子の妊娠や育児は不安だった。第3子を自宅出産した時、助産師が妊娠中から産後まで、継続的に気にかけてくれた。「誰かから大事にしてもらえて、安心して子育てに向き合えた」という。
知り合いがいない土地で、困った時に頼れる場所があれば─との思いで、開業を決意した。
育児の相談や授乳指導など
産前産後ケアハウスまんまるは、10月1日にプレオープンし一般に公開した。21日が本オープンとなる。地元松本市の産後ケア事業の委託施設としてスタートする。
産後ケア施設は、育児に関する相談に応じたり、産後の体調に心配のある母親や赤ちゃんが体を休めながら授乳指導等を受けたりする施設。市町村によって取り組みが異なるが、同市では住民登録があって市税の滞納がない人が利用できる。
同市は1日現在、「まんまる」を含む松本、安曇野両市の7病院と9助産院・助産所を、委託施設として登録している。利用したい人は、委託施設に相談した上で、松本市健康づくり課に申請すると、補助を受けられる。「新しい制度なので毎年内容が変わるが、段階的に近隣市町村の事業にも対応していきたい」と宮岡望美さん。
読み聞かせなどイベント利用も
まんまるは2階建ての民家を改装した。1階のカフェラウンジは1時間500円で利用でき、コーヒーや紅茶、ノンカフェインのハーブティーなどのフリードリンク制。利用できるのは市町村を問わず妊婦と0歳児の家族とその友人、未就園児のきょうだい。
産後ケアは昼食付きの日帰り型で、仮眠室を設けた。松本市在住の人は市町村委託の産後ケア事業で利用できる。それ以外の人は自費利用もできる。助産師2人が常駐し、必要があれば看護師も在勤する。2階はイベントスタジオで誰でも利用でき、地域の人に親子向けのイベントを開いてもらう構想もある。
開設準備中の9月には、親子向け絵本の読み聞かせ講座を開いた。乳幼児を連れた母親4人が参加し、絵本を通して交流していた。1歳3カ月の絢大(あお)ちゃんを連れて参加した小神野智代さん(29、松本市征矢野)は「木の良いにおいと畳の部屋があって、子連れで安心して安全に過ごせる」と喜んでいた。
10月3日のプレオープン期間中に訪れた森本みゆきさん(33、同市)は妊婦で、2日後に出産予定日を控えていた。「産後も授乳相談に訪れたい」と、体に優しいお茶を飲みながら、ゆっくりと過ごしていた。
慣れない土地、初めての育児、不安な気持ちで子育てした自分だからこそ、寄り添えることがあるのではないか。宮岡さんは一人一人の話を熱心に聞きながら、赤ちゃんとお母さんがほっと一息つける居場所づくりにまい進する。
施設は土・日曜、祝日休み。問い合わせは宮岡さんTEL090・2506・3035(平日午前9時~午後5時)。インスタグラムはこちらから。