
小学生軟式野球の第44回信濃毎日新聞社旗争奪中信地区学童大会(松本市少年軟式野球連盟主催、信濃毎日新聞社・信毎中信地区販売店会後援)は10月6、13、14日、同市の西原公園グラウンドなどで開いた。最終日に準決勝以上を行い、決勝は寿ヤングバード(松本市)が大門ベースボールクラブ(塩尻市)を8─6で破り、3年ぶりに大会最多12回目の優勝を果たした。
決勝 大門に逆転勝ち
決勝は寿が初回、1番樋口雄惺(筑摩6)の二塁打を足がかりに1点を先制。先発の長澤怜音(れのん)(寿5)は低めを丁寧に突いたが、大門打線が3回に爆発。1死二塁から1番佐々木明里(塩尻西6)の右中間二塁打で追い付くと、続く2番中村和(かず)誠(ま)(同)の右中間二塁打で勝ち越し。その後も3点を加えた。
4回にも1点を失い、5点を追う寿は5回、下位から打線がつながり、4点を返しなおも2死二塁で打席には7番山田昇佑(清水6)。内角の直球を思い切りよく振り抜き、左翼手の頭上を越える2点本塁打で逆転した。
寿は最終6回にも1点を加え、3回途中から救援した山田昇が苦しみながらも要所を抑え、逃げ切った。
大会は29チームが出場してトーナメントで争い、準決勝は寿が波田白樺ジュニアクラブを11─3、大門が菅野ツインズを11─9で下した。
▽決勝
寿
100061 8
005100 6
大門
負傷の仲間のために勝利を
「こんな試合展開はたぶん初めて」と寿の上條正志監督がうなった鮮やかな逆転劇。成し遂げたのは「負傷で試合に出られない仲間のために勝利を」との強い思いで臨んだチームメイトたちだった。
「本来なら先発で4番」(上條監督)という大黒柱の小松奏心(そうし)(明善6)が、前々日にあった別の大会の試合中に、右手小指を骨折するアクシデント。
前日の2試合を戦力差で乗り切り、臨んだ最終日の準決勝も大勝したが、決勝の相手は上條監督が「とにかく打つ」と、強力打線を警戒する大門。先発の長澤が2回まで抑えたものの3回につかまり、2番手の山田昇も悪癖の力みが出て、4回までに5点をリードされる展開だった。
「たった1人抜けただけで、こんなに弱くなるのか」。5回の攻撃前に上條監督がげきを飛ばすと、目が覚めた選手たちは、ベンチで大声で仲間を鼓舞する小松のためにもと奮起。連続安打で1点ずつ返し、1点差まで迫ったところで打席に立ったのは、主将でもある山田昇。
「後ろにつなごう」。仲間を信頼して振り抜いたバットから、起死回生の一打が生まれた。小松は試合後、「最高のキャプテン」と、はにかみながら大会最優秀選手になった山田昇をたたえ、上條監督は「この試合で選手は一回り成長した。褒めてあげたい」と目を潤ませた。
「次に向け練習」
●…大門・澤井悠吾(塩尻西6、大会優秀選手、決勝で先発)「決勝は思い切って投げきろうと、強い気持ちで臨んだ。結果は悔しいが、次はもっと投打に活躍できるよう練習したい」
●…大門・百瀬則幸監督「『1球』『1スイング目』など『1』にこだわって練習をしてきた。選手が意識してしっかりやってくれた。競り合った試合もあり、いい経験をさせてもらった」
【結果】
▽1回戦(6日)明科13─6福島、芳川20─1神田、菅野7─0桔梗ケ原、山形4─3洗馬、大門10─0池田、明善5─4二子、鎌田4─3北原町、白馬・小谷13─3蟻西、野村14─5惣社、波田白樺16─0松川村、梓川8─7広丘、寿13─0上松、大町16─3山辺
▽2回戦(13日)明科4─2今井、菅野14─0芳川、大門3─1山形、明善6─4鎌田、野村10─0白馬・小谷、波田白樺13─2横田、寿16─0梓川、吉田2─1大町
▽準々決勝(同)菅野15─0明科、大門13─2明善、波田白樺5─3野村、寿9─4吉田