スポーツ車専門店で働き2年檀祐太郎さん 自転車@松本 かなえた夢の生活

風切って自由にどこまでも行こう

松本市内田の檀祐太郎さん(26)は都内から移住し、同市新橋のスポーツ自転車専門店「BIKE RANCH」で働いて2年が過ぎた。高校3年のときに自転車の「自由さ」に魅了され、将来は自転車店で働く夢を実現させた。「今の生活は理想に近い」と、充実した日々を送っている。

「無しの生活きつい」

東京都小金井市出身。小学生の頃に始めたサッカーが好きで、電車で通う隣の三鷹市の高校でも部活で続けたが、「いろいろな人間関係に少し嫌気が差していた」。
3年生のときに友人にサイクリングに誘われ、初めてロードバイクに乗り、風を切る気持ち良さなどに衝撃を受けた。何より自由で、どこまでも行かれる感覚にしびれた。
親に頼み、10万円ほどするロードバイクを買ってもらった。「通学時の満員電車から解放され、渋滞もない。スピードが出るのに燃料代もかからない」。日常生活でもいいことずくめだった。
その時点で「将来は自転車店で働く」思いを固めた。高校卒業後は都内の自転車関係の専門学校で2年間学び、埼玉県の自転車店に就職。結婚を機に経済的な理由でいったんは別の仕事に就いたが、「自転車がないとやっぱり精神的にきつくなった」。妻の田舎暮らし志向もあり、タイミングよくバイクランチの従業員募集が見つかり、2022年に松本に移り住んだ。

移住し生涯の相棒と

移住後は、夏場は午前4時半に起床して「ひとっ走り」するのが日課に。県内各地で開かれるレースに参戦するなど自転車ライフを満喫している。マウンテンバイク元五輪代表の鈴木雷太さん(52)=本紙コラム「水のおと」筆者=が経営する店では、訪れるマニアックなお客との会話が楽しいのはもちろん、お客の話に付いていくために「日々勉強している」。
加えて「自転車に乗る人を増やし、店をもっと盛り上げたい」と、週末などに60キロ前後を走行するツーリングを企画。自身が楽しむのと同時に、一緒に走る人たちに自転車の魅力を伝えている。
将来は独立し、自分の店を持たないのか?との質問には「今はそういう考えはなく、この店のために働きたい」ときっぱり。土地と店に強い愛着を感じている。「自転車は、自分のやりたいことができる乗り物」と檀さん。生涯の相棒と松本で過ごす日々が続きそうだ。