朝日村社会福祉協議会はこのほど、村中央公民館で福祉講演会を開いた。国から「認知症本人大使(希望大使)」の任命を受けた春原治子さん(80、上田市)と、春原さんを支え共に活動する櫻井記子さんが講演。来場した約100人が聞いた。
定年退職後、特別養護老人ホームのボランティアなど、地域の人を支える活動をしていた春原さん。72歳ごろ物忘れを指摘され、病院で認知症と診断を受けたが、これまでの学びから「認知症になっても自分らしく暮らせる」と考え、周囲に病気を公表したという。
所属するボランティア組織は「治子さんが活躍できないなら活動の意味がない」と声を上げ、春原さんは組織の同窓会長に就任。「当事者だからこそ分かることがある」と、研修会などで体験を伝え、オレンジサロンの代表を務めて認知症の本人や家族の相談に乗る。
予定は手帳などに書き込むが、忘れても周囲に声をかけてくれる人がいる。運転免許証は返納したが、デマンド交通で出かけることもできるという。
「忘れたり言葉が出なくなったりしても、他者を思う気持ちや明日の希望を考える力はある」と春原さん。櫻井さんは「異変に気付いて声をかけ、早期受診につなげる仲間づくりや、差別や偏見なく、伴走者となってくれる地域の存在が大切」と訴えた。