生まれた時からスマートフォンなどデジタル機器に囲まれている乳幼児とその保護者たち。そんな世代に正しい情報の扱い方や知識を身に付けてほしいと、塩尻市の吉田児童館分館(広丘吉田)が「0歳からの情報教育講座」を開きました。講師を務めた同市教育委員会指導主事の島津和浩さん(45)の話から一部を紹介します。
正しい情報の扱い方・知識身に付けて
生まれたての赤ちゃんの視力は、ぼんやりとしか周りを認識できず、生後4カ月で0・04~0・08。はっきりした色を見分け始めると親の顔も分かり、1歳で0・3、2歳で0・5くらいに。6歳ごろに大人と同程度の立体視や視力が完成します。
発達途中の乳幼児がスマホやテレビを長時間見ることは、一定の焦点距離で平面だけを見続けることになり、立体視や遠近感などの「見る力」が育ちません。視力への影響だけでなく、言葉の遅れや声をかけても振り向かないなど発達面での問題点も指摘されています。
今の小中学生は昔に比べ視力が低下しており、スマホなどの長時間利用が原因といわれる「急性内斜視」が日本眼科学会で報告されています。この病気は視力低下、黒目が内側に寄る、物が二重に見えるなどの症状があるそうです。
また、スマホは依存症の入り口になるというデータもあります。成長期にある子どもの脳は依存しやすく、そのスピードも大人より速いといわれています。電子メディアは刺激が強いため、長時間見続けると脳が疲れて働きが低下する傾向もあるそうです。
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デジタルがすべて駄目ではなく、「コントロールできる子」を育てることが大切です。乳幼児の頃から、家庭でルールを決めてスマホやタブレットを取り入れる必要があります。
親が頭ごなしに「やりすぎ」と叱ると、子どもは「そんなにやっていない」とけんかになります。そのギャップを埋めるために、まず1週間スマホやゲームをやった時間の記録を取ります。可視化することで子どもも「こんなにやっていたんだ」と気づくケースもあります。
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質疑応答で吉田原保育園(同)の保育士塩原大輔さん(41)は「赤ちゃんや幼児に対して、どのように使っていくのか、または使わせないのか」と質問。島津さんは、「保育園や低学年に使わせるときは、フィルタリングも活用して親が管理する。高学年や中学生は家庭でルールを決め、段階的に子どもに委ねることが重要。そして子どもだけでなく親も使い方を考えることが大切。夫婦で話し合い、自分たちもスマホの見過ぎではないかと反省し、使う時間を短くして」と話しました。
1歳の叶人(かなと)ちゃんと参加した母親の幅下初(はつ)季(き)さん(32、塩尻市大門)は「手が離せない時に子どもにスマホを見せるときもある。上手に活用できたら」と話していました。