大町で27日まで写真家・遠藤励さん作品展 極北の狩猟民族の「今」

大町市教育委員会は27日まで、同市平の写真家・遠藤励(つとむ)さん(46)の作品展「世界の果てに見えるもの」をギャラリーいーずら(大町)で開いている。今年、二つの賞を受けた気鋭の写真家。グリーンランド最北でたくましく生きる狩猟民族の「今」に密着した写真とインスタレーション(空間芸術)計約50点を展示している。
遠藤さんはスノーボーダーの撮影を皮切りに写真家生活をスタート。「雪」をテーマに撮り続けるうちに「雪の民族・民俗」にフォーカスした。2018~22年に現地を計4回訪れ、原始的な狩猟生活をする残り少ない民族を探し、寝食を共にして狩猟にも同行。獲物を探す姿やそれらを食べる様子、そりを引く犬などを撮った。
その中で先住民の暮らしも急速に近代化が進みつつある現状に直面し、「昔の姿だけを探すのは無理がある。今を伝えなくてはと思った」と言う。
会場には、高齢の猟師がサングラスを着け、上半身は現代の防寒具、下半身は毛皮のズボンというハイブリッドな装備で、狩りに持参したバナナを手にするなど、変容を象徴する写真も並ぶ。「記録だけでなく、自分なりの解釈からメッセージを込めた展示。楽しんで、あわよくば考えてもらえたら」
遠藤さんは今年、日本写真協会賞新人賞、笹本恒子写真賞を受賞した。午前11時~午後6時。市教委生涯学習課℡0261・22・0420