信州大病院(松本市旭3)に入院中の小児患者の保護者に、栄養バランスに配慮した弁当を届けるプロジェクトに取り組む松本山雅FCは10月14日、活動資金を得るための有料サッカー教室を初めて開いた。プロジェクトを自立した活動にするのが目的。収益は早速、30日の弁当の費用に充てられた。
松本市かりがねサッカー場の天然芝グラウンドで開いた教室には、小学5、6年の18人が参加。トップチームのコーチ陣とGK村山智彦、FW田中想来の両選手が指導した。
参加したGKの石井蒼空(そら)さん(上田市中塩田小5年)は「プロの選手のアドバイスが直接聞けた。(ボールに飛びつく)倒れ方やポジションの取り方が分かった」と満足げ。
教室の冒頭で信大医学部の村上寛講師が「未就学児の入院患者には、保護者が24時間付き添わなければならない。喫茶山雅が調理する弁当を、とても喜んでもらっている」と、プロジェクトの趣旨や教室の参加費2500円の使い道を説明し、石井さんの父、忍さん(48)は「知らないところで苦労している保護者がいると知った。間接的に協力できた」とうなずいた。
信大病院と取り組むプロジェクトは6月にスタート。月1回、小児病棟に弁当を届け、トップ選手が同行したことも。弁当の数は各回2、3個から10個弱で、費用の全額を山雅が負担している。
「このまま継続するのは難しかった」と、山雅運営会社の担当者・上田将太郎さん。かねて温めていた、選手と子どもが少人数で交流する場というアイデアを具体化し、資金を得ることを思いついた。提案を霜田正浩監督も快諾したという。
村上講師は「(教室は)選手やスタッフに、病棟を訪れなくてもプロジェクトに関わってもらうことができ、参加者にも内容を知ってもらえる。継続したい」と話していた。