感動の紫金山・アトラス彗星(小川村)

鹿島槍ケ岳の双耳峰に迫る紫金山・アトラス彗星。富山県側の街明かりで雲が黄色に輝いている=2024年10月21日午後7時37分

鹿島槍双耳峰上の天体ショー

10月13日、太陽系の果てから飛来した「紫金山(ツーチンシャン)・アトラス彗星」が地球に最接近。21日、イオンとダストの長い尾を引いた「ほうき星」が日没後の西の空を飾り、県内各地から肉眼で観測された。
記者の記憶をたどると、これほど鮮やかな彗星は1997年冬、霧氷と共演したヘール・ボップ彗星以来だ。
21日午後5時半。小川村のアルプス展望広場付近でカメラ2台をセット。撮影は、鹿島槍ケ岳の双耳峰と彗星を組み合わせる構図にこだわった。
6時30分。輝いていた金星が沈み、うっすらと白っぽい彗星の位置を肉眼で確認した。追尾する赤道儀を使わず、開放値の明るいレンズを使い高感度設定。シャッタースピードを3、4秒にセットした。長く美しい尾を引く彗星が鮮明に写った。
7時5分。鹿島槍ケ岳後方、富山県側に突然雲が湧き最悪の事態に。脳裏に描いた光景は撮れなかったが、感動の天体ショーを見せてくれた彗星に感謝し撮影を終えた。
国立天文台は、今回の接近で彗星の軌道がわずかに変化、今後は太陽系外に出て戻って来ないと推測している。(丸山祥司)

長い尾を引き宵の西の空を飾る紫金山・アトラス彗星。人工衛星の光跡(彗星の右側)がコラボ=2024年10月21日午後7時1分