「生きることに安心感持って」
「起業して成功するには、やっぱり、地道な物づくりと営業が大事」。こうしみじみ語るのは個人事業主向けのコンサルティングなどをする「すえなみ起業&経営スクール」(松本市両島)の末次克洋代表(47)だ。創業10年を迎え、改めて創業支援に力を入れる。
同スクールの所在地のオフィスは、2014年に末次さんら数人が共同運営者となり、県内で3番目に早く開設したコワーキングスペース「SENSE」でもある。
「今でこそ、コワーキングスペースの言葉も目的も認知されたが、当時は、ほとんど理解されなかった」と振り返る。
新規事業として7月から、このスペースを従来の機能は維持しつつ、あまり利用されない平日夜間と休日を「社会人の為(ため)の自習室、勉強スペース、起業準備室in長野県松本市」として貸し出すことにした。
今後、資格取得や転職活動、起業のノウハウなどを学ぶ場所が求められることを見込んでの取り組みで、「こうしたことは家やカフェでもできると思うかもしれないが、この10年、起業を支援してきて、起業準備にはそれに合った環境が必要なことが分かった」と強調する。
▽駐車場完備で、仕事帰りに立ち寄れる▽少人数限定で集中できる▽同じ目的を持った仲間ができる▽オフィスとしての設備が充実▽起業やビジネスに関する書籍などが多数そろう─などをメリットとして挙げた。
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「センスを始めた頃は起業が一つのブームで、人が集まって、つながりができればビジネスが生まれると思っていた」
それを全て否定するわけではない。しかし、「それだけではビジネスはうまくいかない」ことも分かった。「地道な物づくりや営業はもちろん、生き残る力を付けるにはどうしたらいいか、という基本的な部分を常に勉強しなければ」と力を込める。
19年から始めた、自然の中で生きる行為や技術・ブッシュクラフト(BC)を中心に据え、それを基本にサバイバルや防災講座などを行う「すえなみBC防災スクール」も「生き残る」という点でビジネス関係との相乗効果を生む。
起業支援やブッシュクラフトを伝えることで「生きることに安心感を持ってほしい」と期待。「安心感があると人に目が向き、貢献しようと思う。そこから新しいものが生まれるのでは」。10年間の答えだ。