松本市の中田儀重(ぎじゅう)さん(75、高宮東)は、自動車の精密模型を収集したり、自身で組み立てたりするのが長年の趣味だ。現在の所有台数は200台以上。25日まで、自動車ディーラー、松本日産自動車松本店(高宮北)で、コレクションの一部を展示している。子どもの頃から「格好良い車に憧れていた」という中田さんの「自動車愛」を拝見した。
中田さんの自宅の一室。壁一面に棚が置かれ、そこにはケースに入ったさまざまな車種の精密模型がずらりと並ぶ。置く向きをそろえるなど、丁寧な陳列方法からも中田さんの「車愛」が伝わる。
この中の24分の1スケールの模型は、完成品を収集。その数207台で全部が国産車。「メーカーごとにスタイルやデザインに個性が出ているのが面白い。『こんな車に乗りたかったな』と思いながら眺めています」と模型を手に取って話す。
見た目にも迫力のある8分の1スケールの模型は、中田さん自身が組み立てた。「作っているとエンジンルームの配線など、細かな部分がよく分かって楽しい。それと出来上がった時のうれしさも格別」。
これまで、「日本の名車」と呼ばれる日産の4代目スカイラインに設定された通称「ケンメリGT─R」や、マツダの初代・コスモスポーツなど4台を製作。部品が送られてくるのを楽しみに待ちながら、ゆっくりと作業をするため、1台作るのに約2年かけた。現在も、2台同時に組み立て中だ。
6人きょうだいの末っ子で、兄が4人いた。幼い頃から、その兄たちの車に何度も乗せてもらった。「車って格好良いな。自分もこんな車に乗りたいな」と、その時から思っていた。初めて自分の車を持ったのは19歳の時。以後、オートバイも含め、オープンカーやキャンピングカーなど自分の好みの車が発売されると、その都度乗り換えた。週末は家族とドライブに出かけるなど、カーライフを満喫した。
65歳で会社を退職。その際、「ぼけ防止のため、本気で打ち込めるもの」を探す中で、精密模型にたどり着いた。細かな作業と根気が必要な精密模型の組み立ては、元々ものづくりが好きだった中田さんには、ぴったりだった。
模型の見どころの一つ、エンジンルームの組み立てが一番難しいといい、中田さんは「車好きや模型に興味がある人たちにぜひ見てもらいたい」と呼びかける。
展示会では、日産のスカイラインやフェアレディZなど、25台の24分の1スケールの模型が並ぶほか、中田さん自身が製作した8分の1スケールのホンダNSXも見られる。午前9時半~午後6時半。火曜と第2、4水曜定休。TEL0263・26・5600