コーヒーの香りに包まれて癒やしのひとときを─。「雑貨cafe AOI(葵)」(松本市開智1)は、店主の荒木日出子さん(60)が長年の夢をかなえ、2年前にオープンさせた店だ。店名は、かつて両親が松本城近くで営んだ「葵みやげ店」にちなむ。幼い頃、店を訪れる客との会話を楽しんだ記憶と、そばにあった両親の笑顔が夢の原点という。
「立ち寄った人がゆっくりおしゃべりしたり、忙しさを忘れてほっとできたりする場所になれば」と荒木さんはほほ笑む。
自慢のコーヒー(400円)は、松本神社でくんだ井戸水を使い、サイホンで一杯ずつ丁寧に入れる。雑味が少なくまろやかな口当たり。信州産リンゴをスロージューサーで丸ごと1個分搾った「生搾りリンゴジュース」(500円)や、自家製チーズケーキ(350円)も人気だ。
飲み物やデザートは、英国の女性陶器作家スージー・クーパーのアンティーク食器で提供。「かわいらしく夢のあるデザインが気に入って」荒木さんが25年ほどかけて集めた。90年ほど前のものもある。食器は販売も。バッグや帽子など、荒木さんの友人のハンドメード作品も扱う。
新婚旅行で訪れて以来、「時間がゆっくり流れて人が優しい」と英国のとりこになった。「王室御用達のH・R・ヒギンスの紅茶(400円)、アンティーク家具やブラスバンドのBGMなど、英国調にこだわった店の雰囲気も楽しんでほしい」
店は、老後を迎える自身の居場所でもある。第二の人生のスタートを応援してくれた家族への感謝も胸に、荒木さんは店を訪れる人たちとの出会いを楽しんでいる。
不定期で長男の優歩さん(20)によるユーフォニウムの生演奏も聴ける。松本城、開智小学校からそれぞれ徒歩1分。町歩きのお供にドリンクのテイクアウトもできる(全品500円、均一サイズ)。土・日・月曜と祝日の正午~午後5時に営業。詳細はこちらから。