リーグ後半戦初連勝
松本山雅FCにとって初物尽くしの勝利だった。サンプロアルウィンでテゲバジャーロ宮崎に初めて勝ち、今季のリーグ後半戦では初の連勝で、初めてJ2昇格プレーオフ出場圏(3~6位)に入った。次戦、いわぎんスタジアム(盛岡市)で初めて勝って今季初の3連勝となれば、プレーオフをホームで戦える3、4位が見えてくる。
昇格へ攻めの要が地力発揮
豪雨でサンアルの芝生は水をたっぷり含み、場所によってパスを絡め取ったり、逆に滑らせたり。両チームともいつもの戦術を展開できない。最後は技術力が勝敗を分けた。
後半38分、右サイドでMF菊井悠介が速いパスを受ける。ワンタッチでボールを数歩先に落ち着かせた。次の一蹴りでゴール前へ送り込む。GKが飛び出せない絶妙な位置だ。
DF野々村鷹人が相手の死角から飛び込む。高い打点で決勝点をたたき込んだ。
2人は同じ流通経大出身で野々村が1年先輩。大学時代から連係の練度を高めてきた。今季もセットプレーの出し手と受け手の組み合わせは2人がチーム最多。「菊井のクロスの精度、野々村のヘディングの強さ、それが相手を上回った」と、霜田正浩監督を喜ばせた。
菊井はリーグ最多の9アシスト目で、この2試合で2得点1アシスト。1カ月前に左脚を負傷し、「昇格争いをしていなかったら、そのまま離脱した」と話していた主将は、復帰後初めてフル出場し、「不安材料はあるが、徐々に良くなっている」と笑みを見せた。
昇格へ背に腹は代えられず、守備的な布陣にシフトした2試合で、攻めの要が地力を発揮した。