未来の暮らしのヒントに「からむしのこえ」上映

芸術文化を通して学びの場をつくる「re△un(リアン)」(松本市)と、自然学セミナーを開く「學而舎(がくじしゃ)」(同)は11月9日、ドキュメンタリー映画「からむしのこえ」を松本市美術館(中央4)で上映する。上布の原料として福島県昭和村で栽培が続けられている植物「からむし」の作業工程や、携わる人々の思いなどを伝える作品という。
からむしはイラクサ科の多年草で苧麻(ちょま)、青苧(あおそ)とも呼ばれる。中国大陸から伝わり、縄文時代から使われていたという。その繊維は丈夫で吸水性が高く、乾きやすい性質を持ち、衣類や工芸品の素材として利用され、「奥会津昭和からむし織」は2017年に国の伝統的工芸品に指定された。
映画は、大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)が製作。信州大全学教育センターの分藤大翼(だいすけ)教授(52)が監督を務め、撮影と編集にも携わった。16年に撮影を始め、昭和村に14回通い、栽培や糸作り、織りなど季節ごとの作業、受け継がれ磨かれてきた技術、からむしに関わる人々の生活、声などを捉えた。
単にからむしを紹介するだけでなく、生活に必要な物を手作りすること、手間暇かけて作りだす生きがい、本来の暮らしの在り方、未来の暮らしの可能性、伝統文化がどう受け継がれるのかなど、さまざまな要素を盛り込んだ。「手を使って物を作る文化をイメージでつかんでほしい。これからのよりよい生き方のヒントや選択肢になるのでは」と分藤教授。
午後2~4時。上映は90分で質疑応答の時間を設ける。チケット千円。定員80人。申し込みは=こちら=から。