【なないろキッズ】 #101 朝食が喉を通らない

学校に行く日の朝ごはんがほとんど食べられないお子さんがいます。学校から帰ってくると「おなかすいた!」とすごい勢いでおやつを食べたり、夕飯もしっかり食べたりするので、食が細いわけでありません。また、お休みの日の朝ごはんはしっかり食べており、朝に食欲がわかないというわけでもなさそうです。
これから学校に行くぞという日の朝の時間帯は、気合を入れて戦闘モードになっているのかもしれません。緊張しているのかもしれません。そんな時は、自律神経のバランスで交感神経優位になっています。消化吸収に関わる胃腸の働きは、リラックスモードの副交感神経優位の時に動くので、戦闘、緊張モードの交感神経優位のときは、胃腸の働きが抑えられ、食欲がわかないのです。また唾液もあまり出ず、口が乾いたような状態になっており、「食べ物が喉を通らない」という状態になります。
毎日の登校にそこまで緊張しすぎなくても…と思うかもしれませんが、緊張の仕方は人によってまちまちですよね。本人は自覚がなかったり、あからさまなストレスがなかったりしても、そのようになっている人はいます。
A君は繊細で、おとなしく、真面目なタイプの子。小学校を行き渋ることなく毎日登校しているのですが、朝はなかなか起きられず、起きてもご飯が喉を通らないといって何も食べようとしないことにお母さんはやきもきしています。「朝ごはんを食べないと元気が出ないよ!」と言って励まし、本人が好きなメニューをいろいろ出してみますが、一口、二口しか食べずに登校することがほとんどです。本人は「朝は食べ物が喉が通らないんだよ」と言っています。
試行錯誤の末、朝は温かいスープとゼリー飲料を用意し、体育がある日などもう少しカロリーを取ってほしい時は、介護食に使われるような栄養剤を1本追加して飲んでもらうようにしました。味気ないようですが、本人はこれが気に入ったようで、「給食前におなかすかなくなった」と言っています。
それほどまで気合を入れて頑張って学校に臨んでいることをねぎらいつつ、食べやすいものを食べられるだけ食べさせて送り出すようにしています。