病児、障がい児家族に安心を 「ピアサポートShuShu」3年目 仲谷さやかさん

「病児、障がい児を育てる家族が交流できる場をあらゆる所につくり、何でも話せるおしゃべり会という場を地域に根付かせたい」。そんな思いを実現しようと安曇野市穂高の仲谷さやかさん(46)が立ち上げた「ピアサポートShuShu(シュシュ)」が3年目に入りました。自身のことや活動について話を聞きました。
★自身の経験からつながる場を立ち上げ
さやかさんは夫の亮平さん(45)、長男の悠生(ゆうせい)ちゃん(5)と3人暮らし。悠生ちゃんは重症の先天性心疾患があり、その合併症による病気で生後2日目に手術を受け、4カ月に2回目の手術をして8カ月間入院。日常的にたんの吸引や経管栄養が必要です。
医療的ケアをしながらの子育ては息つく暇もありません。「同じような子どもが地域にいるのかさえ分からず孤独を感じていました」
悠生ちゃんが2歳を過ぎて療育支援センターに通えるようになり、さやかさんも母親同士の交流を楽しみにしていました。しかし、先生や看護師のサポートはあるものの、母親たちは自分の子どもの面倒を見るのに必死で話せる時間はわずか。「もっと交流や地域の情報交換をしたい。毎日頑張っているママたちが子どもからちょっと離れて思いや悩み、考えを共有できるおしゃべりの場、ありのままの自分でいられる居場所が身近にあれば─」。
ないならできる範囲でやってみよう─。そんな思いでインスタグラム「mama_cafe_peer」=こちら=を22年4月に開設。情報を発信しています。
★広がる活動の場
活動はオンラインや対面でのおしゃべり会から始めました。
「『失礼だと分かっていますが、悠生君のように気管切開してチューブを付けている子は見た目でサポートが必要だと分かるからうらやましい。うちの子は見た目で分からない発達障がいがあり、急にかんしゃくを起こした時など周りの視線がつらいです』。この話を聞いたとき、本音だろうなと思いました。病気や障がいのあるなしにかかわらず苦しい思いを抱えているお母さんは多いし、悩みの根本は一緒。だからおしゃべりして、お互いを知り合うことが必要だと感じました」
ママたちの話を聞けば聞くほど困ったり苦しんでいる問題が浮かび上がり、「もっとスピード感を持って取り組まなけれならない課題がたくさんあることを実感しています」とさやかさん。
昨年は安曇野市社会福祉協議会と合同で、市内の病気や障がいのある子どもとその家族を対象に月1回、交流する場「にじいろキッズパーク」をスタート。感染リスクが比較的低く外出が可能な「にじ組」と、感染リスクが高く在宅療養が中心の「いろ組」に分かれて活動してします。また、病気や障がいのある子どもを育てる家族のための「子育てガイドブック」を市に提案しています。
今秋は就園就学や災害時の備えなどをテーマにした「学びサロン」、病気や障がいがあっても安心安全に参加できる「秋フェス」なども企画しました。
さやかさんは「相談窓口に行きにくい人もいると思います。そんな方も含めたお母さん同士で本音を話せるおしゃべり会の輪を広げていきたいです」と話します。