「災害」を乗り切るための備え─すえなみブッシュクラフト防災スクールの末次さんに学ぶ

いつ起きるか分からない自然災害。大規模災害だと発災から避難所開設まで平均72時間(3日間)かかり、その間は自力で乗り切らなければいけないとも言われています。松本市の「すえなみブッシュクラフト防災スクール」主宰の末次(すえなみ)克洋さん(47、両島)を講師に開いた防災デイキャンプ(岳都・松本山岳フォーラム実行委員会主催)から、簡易シェルターの作り方と新聞紙で湯を沸かす方法を紹介します。

簡易シェルター

災害でライフラインが断たれたときに命を守る5要素は、空気、シェルター(体温)、水、火、食。夏でも体がぬれた状態で風に吹かれて3時間過ごすと低体温症になってしまうので、雨風を防ぎ体温を保持するシェルターは特に大切です」と末次さん。家にある物で簡単に作る方法を伝えました。
★用意する物
▽ブルーシート▽園芸用の支柱1・5メートル2本(枝や物干しざおなどでも可)▽ロープ(支柱と同じくらいの長さ×2本)▽ペグ(4本)▽ハンマー(石で代用可)
★作り方
(1)シートを広げ、一辺をペグで地面に止める。
(2)支柱を立て、シートの傾きが地面から45度くらいになるように先端部分にロープで結んだら、残りのロープを地面にペグで止める。
◎ペグを打つ角度や支柱の位置などが適切でないと上手に立ちません。ロープの結び方は4種類(ふた結び、巻き結び、自在結び、本結び)を覚えておくと役立ちます。
◎寒い時期は風が入り込まないように入り口を閉じる、シートを二重にするなどの工夫もできます。

新聞紙で湯を沸かす

湯を注ぐだけで食べられるアルファ米やフリーズドライなどの保存・災害食。その1食分の湯(アルファ米100グラムで160ミリリットル)を沸かすために必要な薪(まき)の作り方です。
★用意する物
▽新聞紙1日分▽金属製のボウル1個▽ざる▽網▽トング▽土台になるステンレス製のざるやボウルなど▽じか火に使える鍋▽ポテトチップス、チョコレート(着火剤)▽マッチ、ライター▽水約160ミリリットル
★作り方
(1)新聞紙1枚を8分の1に裂き、ねじりながら固く丸めて棒状にする。他に4分の1、2分の1に裂いて丸めた物、全紙を丸めた物も作る。太さを変えることで空気が入りやすくなる。丸め方が緩いと火の粉が飛ぶので、しっかりねじる。
(2)土台になるざるなどを地面に裏返して置き、その上にボウルとざるを載せ、薪に見立てた新聞を山の形になるように置く。
(3)新聞に火を付けたら網を載せ、水を入れた鍋を置いて沸かす。
◎火が付きにくい時は、ポテトチップスや、ティッシュでくるんで少しもんだチョコレートを新聞のそばに置くと燃えやすくなります。

普段は大人向けの防災講座を開くことが多いという末次さん。「家や自然にあるものを使う知恵さえあれば、どんな時でも生きていける。そのために子どもたちは第一に楽しく、実際にやってみる経験が大切。それが生きる力になると思う」と話しています。