夕日に際立つ赤と青の対比
今季初めて冬型の気圧配置となった18~19日、松本市と上田市武石の美ケ原高原が例年よりひと月ほど遅く、霧氷に覆われた。
19日午後1時。脳裏に描いたお気に入りの構図を狙い、焼山牧場のトレッキング道路沿いの撮影地点を訪れた。松本平側から吹き上げる、北西や北からの強風にあおられ激しく舞う霧に一面覆われ、視界は約100メートル。
午後2時15分。流れる霧の切れ間から時折こぼれるスポット光が、チラッと瞬間的に霧氷の木々を白く浮かび上がらせる。狙っていても同じ場所は照らさない。三脚を据えての撮影を断念。即対応できるよう、望遠レンズ付きカメラを手持ちに変えた。林間を駆け獲物を追うハンターのように、白く輝き瞬時に消える霧氷の被写体を狙った。
午後3時、氷点下3・1度。霧は晴れず、車に戻り仮眠。
午後4時10分。車外が夕日で赤い。牧場沿いの撮影地点に急ぐ。狙いの構図でポイントとなる霧氷の木に、夕日がかかり始めている。大急ぎでカメラをマニュアルでセット。
午後4時21分。夕日を浴びてまぶしく輝く主役の赤い霧氷と、日陰になった脇役の青い霧氷が共演…。補色の対比を最大限に際立たせ、脳裏に描いていた霧氷の光彩に迫った。
(丸山祥司)