スイーツ事業拡大へ新たな挑戦
「サツマイモのスイーツは、今は全国のどこにでもある。改めて強みを強調したかった」。こう力を込めるのは、県内でサツマイモのスイーツ店「おいも日和」など、4店を運営するねんりん(松本市両島)の宮下祥次社長(55)だ。芋けんぴ専門店をリニューアルオープンするなど、新たな挑戦をする。
おいも日和の1号店、安曇野店を安曇野市三郷温にオープンしたのは2014年。2号店となる松本中町店を松本市中央2にオープンしたのがその2年後の16年。
「店を開いた当時は、全国的にサツマイモのスイーツのはしりだったが、今はどこの観光地にも同じようなメニュー構成である」
こうした状況を敏感に捉え、松本の観光スポットの一つとして人気の松本中町店を「芋けんぴ」の専門店としてリニューアル。新商品の「揚げたて芋けんぴ」を目玉にする。
「松本中町店の約7割は観光客。お土産として一番の強みの芋けんぴをさらに訴求したかった」
また11月9日、長野市篠ノ井会の「長野しののい店」を、ドーナツ専門店に業態転換し、「日々どーなつ長野しののい店」としてオープン。自社農園で栽培した米や小麦を使用。米粉を使った「グルテンフリー」の「オールドファッション」が主力だ。
「長野の店が落ち着いたら、松本でもドーナツの移動販売などを考えたい」としている。
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農業資材の卸「長野味えさ販売」(松本市両島)の3代目。農業を取り巻く環境を考えた中で「何か新しいものを」と模索。以前からやりたかった「小売り」に照準を絞り、「少しざわつき始めていた」というサツマイモのスイーツに目を付け「おいも日和」を開いた。
7年前から、坂城町、千曲市の約30ヘクタールで、米、小麦、サツマイモを栽培。今後、スイーツの原料が自社製であることをPRし、商品力の向上につなげるという。
「小売りという3次産業から1次産業に戻り、結果的に6次産業的なことをしている。農業の新たなビジネスモデルになれば」と先を見据えた。
みやした・しょうじ 1969年、松本市出身。坂城町育ち。上田東高卒。松本市の専門学校から、上田市のモーターメーカーに就職し約10年間勤務。31歳の時に長野味えさ販売に入社。2010年、ねんりんを設立し、代表就任。坂城町在住。