松本山雅FCが勝負強さを見せた。プレーオフ(PO)の大会規定で、引き分けでも勝ち上がるホームでの一戦。早々に先制されるも終盤に追いつき、1万2千人の観衆の後押しを受け、勝ちに等しい引き分けをつかんだ。次は勝たなければ実が得られないアウェーでの大一番。4年ぶりのJ2復帰へ真の勝負強さが試される。
J2復帰へチーム力の集大成ぶつけて
無失点の時間をできるだけ長くする。先制点を取り、相手に心理的圧力をかける─。
試合前、霜田正浩監督が話していたプランは早々に崩れた。前半10分に失点。相手は巧みなボール回しで翻弄(ほんろう)してきた。
苦しいとき、頼れるものがあるチームは強い。
まずは攻撃。後半20分、菊井悠介の右CKを野々村鷹人が頭で合わせた。1カ月前に雨中の宮崎戦で決勝点を奪った、同じ右キックとヘディングのコンビだ。
夏場、攻撃の組み立てに苦しんでいた時、菊井は「最近の得点はロングスローとCKだけ」と自嘲気味に話した。逆に言えば、それだけは機能していた。土壇場の切り札となってチームを救った。
守りの強みは、リーグ最終盤で培った3バック。4バックから変えて5連勝で「やることが明確になった」と選手たち。この日も個の力がまとまった。
プランが崩れてもしぶとく勝ち上がった。霜田監督は「いろんな戦い方をものにしながら、選手が強くなっているという実感が持ててきた」と目を細める。
富山戦で求められるのは勝利のみ。「目的がはっきりしてやりやすい」と野々村。チーム力の集大成をぶつける。