「お薬師さま」と呼ばれ親しまれている松本市の東昌寺(白板1)は、不定期で「ラフォル寺(じ)ルネ」を開いている。音楽好きな飯島惠道住職(61)が、東京で開く世界最大級のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」をもじって命名した小さな音楽会という。5幕(回)目の15日は、ギターとボーカルのユニット「雅音人(がねっと)」が登場する。
「雅音人」出演、住職とコラボも
「ラフォル寺ルネ」は、音楽を聴いて心を癒やす小さな音楽会を継続的に開きたいと、飯島住職が2年前に始めた。15日は、「いのちと祈りと愛の歌」と題し、本尊の薬師如来が鎮座する本堂で演奏する。バイオリンを弾く飯島住職とのコラボレーションもある。
今回のコンサート実現の種は2年前。父を亡くした女性が、悲しみの中、たまたま雅音人のユーチューブを見かけた。その時聴いた曲は「あなたを想(おも)う」。琴線に触れた。父を亡くした悲しみと曲が重なったという。ぜひ生で演奏を聴きたい|と、そこから雅音人探しが始まった。
当時はコロナ禍で活動が制限されていて、コンサートは開かれない。ホームページも更新されないが、今年の9月、状況は急転した。14日付のMGプレスの記事に、雅音人の文字を見つけた。雅音人のギター、辻喬之さん(61、愛知県)が運営会社の代表を、ボーカルのTamiko(本名・下田民子)さんが店長を務める、配食サービスの「ライフデリ松本店」を訪ね、思いを打ち明けた。
その女性が、飯島住職が代表を務める、大切な人を亡くした人のわかち合いの会「ケア集団ハートビート」に参加していたことから、話を持ち込み、「ラフォル寺ルネ」への出演が決まった。
雅音人は、依頼されて曲を作るなどの活動はしていたが、コンサートという表舞台に立つのは久しぶりという。「あなたを想う」の他、「春へ」「いのちのうた」「SmileSmile」などのオリジナル曲、「ムーン・リバー」といったカバー曲を披露する予定だ。飯島住職もバイオリンを持ち、コラボする。演奏曲は当日のお楽しみという。
本堂という場所について辻さん、Tamikoさんは「天井が高く、木造なので木が共鳴する。響きがいい」とし、「生で雅音人を見て聴いてもらえる機会。透き通った歌声をストレートに感じ、心を癒やし優しい気持ちになってもらえたら。そんなコンサートにしたい」。
飯島住職は「悲しみを抱えた人の心に届き、それを癒やすように企画した。ぜひ足を運んで。温かい気持ちで新年を迎えていただければ」と話している。
【ラフォル寺ルネいのちと祈りと愛の歌雅音人コンサート】15日午後2時開演、松本市の東昌寺(白板1-1-2)。入場料500円。