小谷村の「牧の入茅場(かやば)」で行った、かやぶき屋根に使うカヤの運搬作業に今年、北海道和種馬「道産子(どさんこ)」が活躍した。11月上旬から刈り取り、立てて乾燥させてあった主にカリヤス(カヤの一種)の束を同14日、かやぶき職人や地域住民と共に車道まで運搬。人力に“馬力”が加わり、スムーズに作業が進んだ。
運んだのは、乗馬や馬耕、馬搬などを行う「楓企画」(白馬村北城)の雨宮康平代表(49)が飼育する5歳の雌「楓」。馬との仕事の可能性を探るため、今年初めてカヤの運び出しに挑戦した。
起伏のある草原のあちこちからカヤの大きな束を引っ張って道際まで運び出すが、人間にとってはなかなかの重労働。楓は上り斜面もものともせず、次々と運んだ。
かやぶきを手がける小谷屋根(小谷村中土)の松澤朋典社長(45)は「集落みんなでカヤを刈っていた時代には、馬を使った集落もあったと聞く。馬の力はすごく、助かった。エコでもあり休憩時などの癒やしにもなる」。雨宮さんは「現代の技術を使えば馬も負担が少なく仕事ができる。そのヒント探しにつながり、活動の場が広がればいい」と手応えを感じていた。