プログラミング教室「寺子屋AZUMI」友達と楽しく過ごす居場所を

松本市安曇小中学校に通う子どもたちの居場所をつくりたい─と5月に始まったプログラミング教室「寺子屋AZUMI」。発起人で運営に携わる百瀬裕美さん(50、安曇)と山崎未央さん(38、梓川梓)に、設立の経緯や活動の様子などを聞きました。

★誰かが始めなくては─
同校は通学区外からも通える「小規模特認校」です。ここに長男衣智(いち)さん(小学2年)が通う山崎さんは入学時、子どもが放課後を過ごせる「安曇育成館」があると聞き行きますが、子どもと遊んだり宿題をみるような大人はいませんでした。それでも利用を始め、数カ月が過ぎた頃、衣智さんは行き渋るようになりました。
「子どもにとって必要なのは、場所ではなく関わる人。せっかく建物があるのだから、友達と楽しく過ごせる居場所をつくりたい」。そう思った山崎さんは、当時PTA会長だった百瀬さんに相談します。2人が発起人となり、保護者10人で「安曇小中学校放課後の居場所検討会」を立ち上げました。
地域を巻き込もうと、子ども育成会や行政、議員らに呼びかけ、たどり着いたのが市の「学都松本寺子屋事業」。今年5月から毎週金曜日の放課後に「寺子屋AZUMI」を始めます。現在参加するのは小学1年~中学2年生の約10人。無料で利用できます。
★なぜプログラミング?
きっかけは、山崎さんが元上司の松井智さん(横浜市)に居場所づくりを相談したことです。松井さんは3児の父親で、10年ほど前に移住した同市でプログラミング教室「くもラボ」を運営しています。
「低学年から中学生まで楽しめる『マインクラフト』(仮想空間でブロックを積み上げて建物や街をつくる人気ゲーム)はどう?」。松井さんの提案は、横浜と松本をインターネットでつなぎ、講師も無料で引き受けるというもの。現在使っているパソコン4台も「松本の子どもたちのために」と貸してくれました。
教室は午後4時ごろ始まります。プロジェクターで壁に映し出された松井さんの指示に従いながら、子どもたちはパソコンを操作します。時間を決め、4台を交代で使います。画面を閉じると自動で保存される仕組みなので、いつでも続きから再開できます。小学2年の野仲湧介さん(8、梓川上野)は「先生に教わったり、友達同士で教え合ったりしながらやる家づくりが面白い」と言います。
★みんなの目標
マインクラフトは、英単語を入力して指示することで、画面上にブロックが積み重ねられて建築物などが出来上がります。自然と英語の勉強にもなります。
最終目標は、全員で仮想空間の中に安曇小中学校を建築することです。教室の面積や配置などをリアルに再現するほか、庭や学校で飼うヤギなども入れたいと言います。
不登校の子どもたちのためにリモート機能も整えており、山崎さんは「パソコンの待ち時間には運動や工作を取り入れるなど、工夫しながら子どもたちの心地いい居場所づくりに取り組んでいます」。
ボランティアスタッフを募集中。問い合わせは山崎さんTEL080・1055・6102