村の実情に合わせ身近な備え考える 朝日村防災士会

朝日村防災士会発行の「あさひの守り人通信」を持つ、前列は左から山﨑さん、横山さん、後列右は羽多野さん、同左は会員の鼾藤正法さん

村の災害に対応できる人を

地域の特性に合った防災や減災を考え、発信していこう─。今年発足した「朝日村防災士会」で、村の防災士有資格者と、資格取得を目指す防災士の卵たち、計14人が活動している。
大規模災害が頻発する昨今、防災や自助、共助に関心を持つ人を増やすことは必須。さらに「教科書の内容は、大都市を主眼にしたものがほとんど。朝日村に合った防災を考え、備える必要がある」と、村単位の会の意義を訴える。
発足は5月。中心になったのは、各地でボランティア活動をしている元学校教諭の横山吉美さん(66)、各地で防災の啓発活動や講演などをしている山﨑佳典さん(43)、村議の羽多野美映さん(49)。防災士の資格を持つ3人に話を聞いた。

「まずは自分が」村議が資格取得

朝日村防災士会が発足したきっかけは、村議会にある。村民の立場でモニター参加していた防災士の横山吉美さんが折りに触れ、防災士の資格取得費用の補助を村に訴え続けていた。その姿を見た村議の羽多野美映さん。「以前から防災士に興味があったが、まずは自分が資格を取っていないと補助の必要性は分からない」と考え、昨年、取得した。
さまざまな知識を学んだが、「一人では何もできない」とも感じた。今年2月、村社会福祉協議会が開いた能登半島地震災害支援報告会で、横山さんと、防災の活動をしていた山﨑佳典さんが出席していたことから、すぐに相談。3人で村内の有資格者らに声をかけ、防災士会を発足させた。
まずは、多くの人に「防災の参考にしてほしい」と、A3判の「あさひの守(も)り人(びと)通信」を発行。村内の防災倉庫横にある災害時自販機の利用法や避難所など、既にある対策について、写真を交え分かりやすく紹介し、村中央公民館や、えべやかたくりの里などに掲示した。同会のインスタグラム=こちら=にも載せた。
文責者の山﨑さんは「知識のある人にとっては物足りないかもしれないが、まずは防災に興味を持つ入り口の一つになれば」と、易しい書き方にしたという。2カ月に1回程度発行している。

地域や学校と連携し活動を

会員同士のざっくばらんな情報交換会も2カ月に1回ほど実施。仲間同士の連携ができてきただけでなく、昔からの言い伝えや地域の実情など、防災の知識を得る機会にもなっているという。
7月には小学生を交えた土のう作り講習会を開催、10月には村と懇談会を開き今後の防災活動について意見を交換した。地区の防災訓練にも講師を派遣するなど、活発に活動。11月の村文化祭では展示ブースを設け、段ボールベッドや簡易トイレの紹介や防災クイズなどを企画して、関心を集めた。
今月14日午後2~4時は、村と消防署の協力を受け、村役場駐車場で地震体験車を使った「地震模擬体験」を行う予定だ。
朝日村では資格取得費の補助制度もでき、新たに資格を取得した人、活動を始めた人も増えてきた。「資格が絶対に必要、とは言わないが、資格を取る過程で学ぶことは多い。補助を受けるからには、村への還元も大切。村で起きた災害に対応できる人を増やし、地域に合った防災を考えていく必要がある」と3人。
会の代表を務める横山さんは「今後は他の団体や地域、小学校とも連携し、防災教育の手伝いをしたい。中学校のクラブ活動などでも協力していければいい」と話している。
横山さんTEL090・3552・5725

【防災士】認定NPO法人日本防災士機構(東京都千代田区)が認定する資格。社会のさまざまな場で、減災と防災力向上のために活動できる、十分な意識・知識・技能を有する人を認定する。2003年に創設された。全国の地方自治体や教育機関などで養成の取り組みが進められ、地域の自主防災組織や学校、福祉施設、事業所等で配置・活用の動きが広がっている。11月末現在、全国に30万2544人の有資格者がいる。