作家・ねじめ正一さん「本の寺子屋」で講演 谷川俊太郎さんとの思い出語る

塩尻市立図書館の連続講座「信州しおじり本の寺子屋」は12月1日、詩人で作家のねじめ正一さん(76、東京)=写真=の講演会を市保健福祉センターで開いた。ねじめさんは11月に92歳で亡くなった詩人・谷川俊太郎さんとの思い出などを話し、市民など約90人が聞いた。
東京・阿佐ケ谷で民芸店を営むねじめさんと、近くに住んだ谷川さんは、長年交流があったという。
ねじめさんが「高円寺純情商店街」で直木賞を受賞した際、谷川さんが真っ先に祝いに駆けつけたことや、90年代後半に谷川さんが「詩は書きたくない」とねじめさんにこぼしたことなど、谷川さんの人柄や創作の姿勢が伝わるエピソードを紹介。「ゆうぐれ」を取り上げ、谷川さんの詩の魅力を解説した。
自身の作品にも触れ、親友の妻と恋に落ちる詩人を実名で書いた小説「荒地の恋」では「だいぶお叱りも受けたが、詩人の家族や谷川さんら多くの人の支えで書き切れた」と回想。「作家は自分一人の力で書いているのではない。応援してくれるたくさんの人たちの力で、書かせていただいている」と声を震わせ、創作への思いをかみしめるように話した。