児童と教員支える取り組み
安曇野市の三郷小学校(三郷明盛)の一室「ドリームルーム」に、地域の人々や多彩な職業の大人たちが出入りする時がある。目的は「地域連携児童支援」。子どもたちが、教員以外の人たちと触れ合ってさまざまな価値観を身に付ける取り組みだ。特徴のある活動が三つある。
一つは、学習時の教員の補助。シルバー世代を中心に20人が登録している「ドリームチーム」が、力を発揮する。
二つ目の「ワクワクタイム」は、登山ガイド、看護師ら多方面から活躍する人を招き、話を聞いたり一緒に作業をしたりする。毎週火曜日。
最後は「夢☆☆応援団」。年に数回、土・日曜に開くイベントで、1月はたき火会を開く予定だ。
シルバー世代や保護者らが協力
三郷小学校が力を入れる地域連携児童支援。その支えとなる「ドリームチーム」には、地元のシルバー世代や保護者の有志ら20人が登録している。毎日4人ほどがチームを組んで一つの学級へ出向き、子どもたちに寄り添って教員の授業を助けている。
11月7日は、小川善平さん(三郷明盛)、山下興弘さん(同)、折井雅子さん(三郷温)、降旗みつ子さん(同)の70代以上のメンバーが集まり、1年3組の算数の授業に参加した。小口純教諭が色板カードなどを使って教える中、4人は児童の机に近寄って理解しやすいよう説明したり、机の片付けを手伝ったり─。
1年前から携わっている折井さんは「ちょっとのお手伝いなのに、子どもたちがありがとうと言ってくれる。逆に小学生からエネルギーをもらっている感じ」。山下さんは本年度からの参加で、「日頃から学校の先生は大変と思っている。何らかの形で役に立てれば」と話した。
子らに寄り添いやりがい感じて
週1回の「ワクワクタイム」では、さまざまな職業の人たちが学校を訪れる。児童が教員以外の大人と触れ合うことで、好奇心や探求心を育ててほしい、という願いを込めた活動だ。本年度は3~5年生の児童17人が参加登録をした。
10月29日は、市内穂高有明で木工品と鉄工品を扱う「木鉄(もくてつ)工房風の森」主宰の小林勝美さん(74)がドリームルームを来訪。リンゴの形と家の形、2種類の木製の時計作りを、児童12人に伝授した。
板にやすりをかけることから始め、星形や小鳥形などの押しピンを、文字盤に使う方法などを教えた。「子どもたちの一生懸命さに触れられてうれしい」と小林さん。
5年生の和仁苺佳(わにまいか)さん(10)は「昨年はリンゴ形の時計を作り、家の玄関に飾ってある」と話し、今年は家形に挑戦していた。
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土・日曜日に随時開く「夢☆☆応援団」には、親子15組が登録。6月の親子ミニ運動会から始まり、夏の水鉄砲大会、12月1日の「みさとふれあいマーケット」(市社会福祉協議会など実行委員会主催)への参加などを経て、1月25日は校庭で「たき火会」を催す予定。まき割りや火起こしをし、食べ物を焼いて楽しむという。
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こうした活動の発案実行役は、社会教育主事の肩書を持つ伊藤俊一さん(52)。同校の教諭で、地域連携児童支援主任だ。島根県生まれで、三郷小は4年目。2022年度に「夢☆☆応援団」を始め、23年度に「ドリームチーム」を組織。「ワクワクタイム」も始めた。
ドリームルームを拠点に地域の人たちと連絡を取り合い、スケジュールを決める。「私は地域とのパイプ役。全国にこうした活動が広まってほしい」と、言葉に力を込める。
内山一好校長は「本校は他にも、農家にリンゴのことを教えてもらうなど、専門家とのつながりが深い。地域の人たちの支援は、児童にも教員にもありがたいこと」と話している。