キムチ作りで広がる交流の輪「おおまちキムジャン」味好評 地域活性化にもつなげて

共同作業で絆深め

家族や親戚、近所の人らが集い、大量のキムチを漬け込む韓国の初冬の風習を「キムジャン」という。大町市では、地元などの女性たちが仲間で始めたキムチ作りが、地域活性化につながる活動に発展しつつある。催しには県外からの参加も多く、主催者は「キムチ作りの共同作業で絆を深め、大町を広く知ってもらうきっかけになれば」と期待する。
主催は、同市や東京都の友人同士の女性3人が立ち上げた「おおまちキムジャン実行委員会」。メンバーの皆川明余(あきよ)さん(55、東京)が、最初に「大町でキムチを漬けてみたい」と発案した。委員長の大蔦美智代さん(60、大町市)は、知人らが集い野沢菜を漬けた幼い頃の風習を思い出し、「わいわいと楽しかった覚えがある。みんなで漬けてみよう」と賛同。2021年11月、市内や東京の知人に声をかけ、内輪で漬けたのが始まりだ。
味が好評で、作業を通じて人の輪も広がった。「観光と併せ大町に来たいというリピーターも増えた」とメンバーの藤波聖佳さん(44、同市)。皆川さんは「手間がかかるが大勢でやれば労力軽減になり、何より楽しい」と話す。まちづくりにつながる可能性を感じ、昨年からは参加者を公募し「おおまちキムジャン」の名称で開催している。
今年は11月30日に同市平公民館で開き、2部制で県内外の約80人が参加した。韓国から調達したトウガラシなどを使い、独自レシピで韓国の合わせ調味料「ヤンニョム」を作り、同市や近隣産の塩漬けしたハクサイの、葉の間にすり込んだ。参加者同士は作業をしながら短時間で打ち解けた。「和気あいあいでいい雰囲気。食べ頃が楽しみ」と圓尾(まるお)美佳さん(44、同市)。山梨県から参加した中島由香子さん(51)は「大町がすてきな場所で驚いた」と話した。
今年は、夏野菜の水キムチや浅漬けキムチのワークショップを開催するなど、活動が本格化。ユニークな地域活性化の取り組みの、今後に注目だ。