食事と会話で心も温かく 松本の「松原高齢者食堂」が好評

松本市の松原地区で今年7月から、住民有志が独居老人を対象とした「松原高齢者食堂」を月1回、松原町内公民館で開いている。今年最後の12月17日は、定員いっぱいの15人が参加し、クリスマス風の温かい料理を味わいながら交流を楽しんだ。
朝からスタッフ4人が手際よく料理を作り、肉団子のクリームシチュー、鶏の照り焼きに漬物、スイートポテトと、彩りも鮮やかで栄養たっぷりのメニューを提供。参加者たちは「おいしい」「ひと味違う」などと喜び、会話に花が咲いた。
参加した桜井静子さん(81)は「普段一人でいると話ができないので、とてもいい機会。お料理も毎回楽しみ」、80代男性は「いつもありがたい」と話した。
同地区は40年ほど前に宅地造成され、高齢化が地域課題の一つになっている。1人暮らしの高齢者から「他の方との接点がない」「スーパーで買った食事ばかり」などの声を聞いていた地区在住の角野園恵さんが、「家庭的なものを皆で食べられる場があれば」と数年前から場を模索。今年仲間を募り、メンバーの頭文字を取った「スタート」の団体名で始めた。
参加費300円で、市の補助金や住民から野菜などの提供も受けて実施する。会場は、かつて住民たちが費用負担し建てた公民館で、その利用促進も狙う。
本年度は毎月第3火曜に開き、角野さんは「まだ食堂の存在を知らない高齢者にも、一度来てほしい」。長く続けるため協力者も募っている。