【ガンズリポート】FW浅川 個人で地域貢献「顔が見えるつながり サッカーの活力に」

街中を歩きながらごみ拾いもした

松本山雅FCで今季チーム最多の公式戦14得点を挙げたFW浅川隼人(29)が、シーズン終了後に個人の立場で、ファン・サポーターと交流するイベントを開いた。「地域を盛り上げるため」と、松本の街を学ぶイベントに30人が集まり、信州大病院の医師とメンタルについて話すトークショーは延べ約70人が聴いた。

町の今と昔を知ろう

今季最後のJ2昇格プレーオフ決勝・カターレ富山戦から1週間が過ぎた12月15日、浅川はファンらと、城下町の今と昔を知ろうとしていた。まず市立博物館(大手3)で常設展を見学し、その後通りに出て、昔の名残を確かめながら歩いた。
一行には市お城まちなみ創造本部の職員が同行し、緑町や六九町(ろっくまち)などの「松本城三の丸エリア」で屋外食堂や歩行者天国を行うなど、にぎわい創出を目指す住民主体のプロジェクトを紹介した。他の自治体やコンサルタントの視察時にも説明する内容だという。
「われわれでは手の届かない人たちに伝えられる。より訴求力のある浅川選手のおかげ」と自身もサポーターの石田英幸本部長。今回は街づくりプロジェクトの裾野を広げることに浅川が賛同し、「一緒にやろう」となったという。

クラブの活動への参加とは別に、地域貢献に携わる選手は珍しい。今回のイベントは告知にも運営にも、クラブは関わっていない。浅川は私服姿。参加者はユーチューブなど浅川のSNSでイベントを知った人たちだ。
浅川ファンの森川真悠子さんは、奈良県出身で松本に住んで15年。「今まで知らなかった松本を発見できた。浅川選手と歩けて、他のサポーターとも知り合えて、言うことなし」と満面の笑みだ。

メンタルの変化 自分の経験語る

一行は再び市立博物館へ。さらに40人が加わったトークショーで浅川は、メンタルが専門でサポーターでもある村上寛医師(39)を相手に「前はメンタルがめちゃ弱かった」と明かし、「ミスした後、小さくてもできたことに目を向けるようにしてから、安定してプレーできるようになった」と話した。
村上医師は「メンタルについて考えたことのない市民にも、啓発する機会になった。浅川選手の話は、サッカー以外の活動に応用できる」と納得の表情。最後にイルミネーションイベントで彩られている松本城を訪れ、イベントは終了した。
これまでの所属チームでも、ファン・サポーターと個人的に交流してきたという浅川は「個人としてつながり、顔と名前が一致すると、僕にとってサッカーの活力になる。接点をこれからも増やしていきたい」。X(旧ツイッター)で「楽しすぎた」とつぶやき、参加者に感謝を伝えた。