来春「日芸」に進学松本蟻ケ崎高校3年 篠塚彩乃さん映画で人の強さ映し出したい

松本蟻ケ崎高校(松本市)3年の篠塚彩乃さん(18、安曇野市)は来春、日本大芸術学部(日芸、東京)映画学科に進学する。この1年間、さまざまな形で映画に携わり、自己PRなどで判定される入試で合格した。「自分は人が大好き。いつか映画で人の強さを映し出したい」と夢を膨らませている。

上映会や展示など全力で

今年6月、アフガニスタンで人道支援に尽くし2019年に武装勢力に銃撃されて亡くなった医師・中村哲さんのドキュメンタリー映画の、安曇野市での自主上映会に実行委員として参加した。
加えて市民が撮影した8ミリフィルムを編集し、昭和期の松本をよみがえらせる地域映画「まつもと日和」を制作する「まつもとフィルムコモンズ」に参加。古道具店から机や黒電話などを借り、昭和をイメージした部屋を作って10月の新作上映会場で展示した。
11月には8ミリフィルムの無声映画にせりふを付け、同校演劇部員らが活動弁士を務める上映会を市内で開催。部員らと一緒にせりふを考えた。
濃密な1年を振り返り、「とても大変だったけど、とても楽しかった。全力で何かに取り組むことで、自分を好きになれた」と篠塚さん。

脚本作品が最優秀賞

自身は放送部員。1年生の秋に自身が書いた脚本を基に制作した約7分のドラマ映像作品が、TSB杯県高校新人放送コンテストのテレビフリー部門で最優秀賞を受賞した。
タイトルは「キラキラな私」。いわゆる「キラキラネーム」の自分の名前にコンプレックスを持つ少女が、全員がキラキラネームの世界に入り込み、名前が“普通”になった時、自分の魅力に気付くというストーリーだ。
2年生の時は生徒会役員として、新入生を迎えるイベントで学校を紹介する映像を制作した。スマートフォンを使い、絵コンテ作りや撮影、編集などを1人で担い、「チープな映像だったけど、みんなにウケた。動画制作の面白さを知った」という。

進路を考え始めた時に「映画を作りたい」と頭に浮かんだ。映画は自分の好きな芸術やファッションも、一つの要素になる。映画好きの両親と幼い頃から、SFからヒューマンドラマまで多様な作品を見たのも背景にあった。映画制作の現場を学べる日芸に目標を定め、自己PRの書類や面接などで受験する総合型選抜で合格した。
「シナリオ作りや演出、美術、宣伝、マネジメントなど、映画の裏方のすべての仕事をやってみたい」と篠塚さん。そのまなざしに一点の曇りもない。