朝焼けと山々際立つ冬の絶景
冬の絶景を際立たせる日本百名山の美ケ原高原王ケ頭(2034メートル)の朝。白蛇を連想させる白銀の北アルプスの上空に、ピンクのビーナスベルトが輝き、一日が始まった。
朝焼けに染まる富士山を背景に、黒々と連なる南アルプスと八ケ岳連峰のシルエット。山並みが鮮明に浮かび上がる。カラマツの霧氷を前景に、南方に広がる光景は感動の極みだ。
王ケ頭から見上げる360度の空は大きく広い。日本百名山の40座が見えるのも驚きだ。御嶽山、乗鞍岳…。北アルプスと王ケ頭との観望距離間が絶妙で美しい。剱岳や立山の雄姿も目を引く。
北方に目をやる。雨飾山、妙高山、火打山など信越国境の山並みが浮かび上がっている。北東方向には、群馬県の赤城山、草津白根山、四阿山(あずまやさん)が…。東方遠く3県が県境を接する甲武信ケ岳(こぶしがたけ)も。南アルプス南部の赤石岳、聖岳から最南部の静岡県境の光岳(てかりだけ)まで、遠く離れた百名山も見える。
王ケ頭から見上げる星空の輝きは世界レベルだ。特に冬の星座は見応えがある。全天でシリウスに次いで明るいカノープスが観望できる。冬しか見られない南半球の星だ。
浅間山噴火や低緯度オーロラ、彗星(すいせい)などの撮影地。何度も紙面に掲載してきた大切な取材場所である。
(丸山祥司)