「かわいい、きゅんとする」3匹と暮らす
にょろにょろ、くねくね、二股に分かれた舌、気持ち悪い、毒がある─など、ヘビを嫌いな人は多い。半面、神の使い、開運といったイメージもある。「ヘビの魅力って何?」。実際に飼っている人を訪ねた。
アルビノネルソンミルクスネーク雌のサクラちゃん(14)、ボールパイソン雄のタマちゃん(14)、雌のマリコちゃん(11)の3匹を飼うのは、松本市里山辺の吉川和平さん(56)、直子さん(53)夫妻だ。3匹とも毒はなく、飼育に特別な許可も必要ない。
サクラちゃんは体長120㌢、体重370㌘ほど。赤、白、黄色でキャンディーのようなかわいい模様が特徴。飼い始めた頃はミミズのように細かったという。直子さんは「小さくて、かわいくてかわいくて」と当時を振り返る。
ペットショップでサクラちゃんを見つけ、「すごくかわいい!」と和平さんが一目ぼれ。3回通って、4度目に二人で迎えに行った。もともとフクロウを飼いたいと思っていたが、毎日飛ばさなくてはいけないなど世話が大変。将来飼ったときも餌を共有できるのでは、と考えたという。
「大きいのもかわいいよ」。ペットショップで、タマちゃんを抱いた瞬間、「心臓の音を感じきゅんとした」。その後、マリコちゃんも仲間入り。それぞれ120㌢1800㌘、130㌢3700㌘ほどに成長した。
餌を与えるのは直子さん。和平さんは脱皮に失敗したとき湯に漬け皮をむくなど、二人ともヘビとの触れ合いを楽しむ。
教わること多く
目が悪く、耳もなく、舌でにおいを感じ取ったり、物の位置を判断したりする。基本的な機能だけの、シンプルなヘビの体。「感情はなく、快適か不快か、安心か不安かだけ」と直子さん。人にもなつかないというが、マリコちゃんは安心しきったように直子さんの腕の中にいる。
アルビノ─はメキシコ、ボール─はアフリカが原産。それぞれ28度、30度がベストの温度という。もともと冬眠する種類ではないので、冬眠させるのは危険。永眠してしまわないように1匹ずつケースに入れて鍵をかけ、温室の中で暮らす。「健康であればいい」とマリコちゃんを見つめる直子さんの目は、とても優しい。
今年は巳年。「ヘビが市民権を得る12年に1度の年。グッズも増えるので、買い集めたい。ヘビ同士は争わない。人も見習わなくちゃ。ヘビに教わることは多いです」