【特集・未来を描く】ロス五輪目指す女子バスケ19歳ホープ 絈野夏海(松本市出身) 夢かなえ声援に応えたい

「2028年のロサンゼルス五輪に出場したい」。2024年、高校生(当時)でただ一人バスケットボール女子日本代表の候補に選ばれ、ホープとして注目された松本市波田出身の絈野夏海(19、東京医療保健大1)は、そう言って目を輝かせる。3年後にその夢をかなえるため、コートを走り続ける。
武器は目を見張る成功率の3点シュートと、一瞬の加速で相手を振り切るドライブ。一昨年12月の全国高校選手権(ウインターカップ)に岐阜女子の主将として臨んだ絈野は、全国総体2位の桜花学園(愛知)との準々決勝で、第4Qだけで7本の3点シュートを決めるなど、最大21点差をひっくり返す大逆転勝ちの立役者に。
決勝は総体優勝の京都精華学園に敗れたが、自身は3点シュート8本を含む両チーム最多の31点を挙げ、大会通算の3点シュート計27本は女子の歴代最多記録を更新。直後にパリ五輪世界最終予選に向けた日本代表候補に選ばれた。

代表候補経験 全てが勉強に

五つ上の姉の影響で、小学1年生でミニバスケを始めた。中学時代は部活動とクラブチームで、ドライブ重視のスピードで攻めるプレーを磨いた。
高校は、粘り強いディフェンスを得点につなげるスタイルに引かれ、加えて憧れていた県内選手が進学したこともあり、全国選手権優勝2回の隣県の強豪へ。毎朝のシュート練習で打ち方やフォームを教わり、精度の高い3点シュートを身に付け、2年時にエースとして頭角を現した。
卒業後に実業団入りする道も考えたが、「大学でさらに磨きをかけてからでも遅くない」と昨春、22年まで全日本大学選手権(インカレ)6連覇の東京医保大に進学。「学校としても、プレーヤーとしてもトップになる」と意気込む。

昨年、五輪代表候補に選ばれた際は「こんなに早く、夢に近づくチャンスをもらった」と感謝した。が、合宿で海外クラブでプレーするプロもいるトップ選手たちと練習し「天と地の差を感じた」。当たりの強さや判断力の速さ、プレーの正確さ…。「全てが勉強になった」と前を向く。
その挑戦の原動力は「地元の応援」と絈野。スポーツを楽しむ姿勢や、県外校を選んだ進路など「自分が、下の子たちのエネルギーになれれば」とも言う。五輪出場という夢をかなえることで、古里や後輩たちの声援に応えるつもりだ。

かせの・なつみ
2005年生まれ。波田小時代に松本西部(現・西部グリーンスパンキーズ)で競技を始め、波田中では部活動とクラブチームの波田グリーンパンダーズで主将、第1回全国U15選手権(ジュニアウインターカップ)出場。岐阜女高3年時にU18日本代表。24年インカレで優秀選手賞。ポイントガード・シューティングガード。173センチ、65キロ。