分かりやすい舞台への挑戦
総合芸術として確立されたバレエに、新たな表現を加えると、どんな舞台になるのか─。こんな斬新な試みだ。
松本市を拠点にクラシック音楽に合わせ読み聞かせや即興劇をする「ko.to.mo.(コトモ)」と、同市城山の「バレエスタジオフェッテ」は1月25日、初共演で「くるみわり人形」を市波田文化センターで上演する。
音楽はピアノとバイオリンの生演奏。出演者がせりふを語るなど演劇的な演出もする。「初めてバレエを見る人でも分かりやすい舞台」を目指す一方、「調和させる難しさもある」。
地方都市では珍しいという「コラボ作品」に注目だ。
バレエ、演劇、演奏 表現広げて
普段は、松本市内の幼稚園、保育園、児童センターなどに出向き、ピアノとバイオリンが奏でるクラシック音楽に合わせ、読み聞かせや即興劇などを子どもたちに楽しんでもらうボランティア活動をしている「ko.to.mo.」。
今回の「くるみわり人形」の舞台にはコトモ代表で、演出を担当したおぐらまゆみさん(43)、ピアノ担当の小松真理さん、バイオリン担当のHUMIKAさん、役者担当のかめいさとこさんが出演。
通常、バレエの舞台ではCDなどで音楽を流すのが一般的だが、今回は、小松さんとHUMIKAさんが生演奏。フェッテの生徒らが、それに合わせて踊るのが見どころの一つだ。
物語の内容を分かりやすくするため、おぐらさんがナレーションを加え、さらに、ダンサーがせりふをしゃべったり、劇中の登場人物に扮(ふん)した役者が現れたりするなど、演劇的な演出をする場面もあるという。
コトモにとっても、フェッテにとってもこうした「コラボ」は初めての経験。おぐらさんは、「バレエというと、少し敷居が高いイメージがある。それを少しでも下げ、誰でも分かりやすい舞台にしたかった」とした上で、「こうした試みから、バレエや演劇の表現方法の可能性が広がれば」と先を見据える。
フェッテの生徒でもある小松さんが、フェッテの主宰者、宮内斐とみさん(50)に「いつか両者で一緒にできれば」と持ちかけたのがきっかけ。本来は2020年の春ごろ行う予定だったが、コロナ禍で断念した。
「そのリベンジ」をと、昨夏から改めて構想を練り直し、9月ごろから練習を開始した。
おぐらさんは「ようやく夢がかなう。お客さんには、こういった表現方法もあることを知ってもらい、感性をぶつけ合う舞台を楽しんでほしい」と期待する。
宮内さんは「バレエ、生演奏、演劇のそれぞれの良さがばらばらにならないよう、違和感のない舞台にしたい。これを機にいろんな可能性が広がれば」と話した。
午後2時開演。チケットは大人千円、高校生以下500円。問い合わせはメール(ichoza.ginkgo@gmail.com)で。