易教の学び広め良い世の中に
県内外で易経の講座を開いている、松本市の木澤勝誠(かつなり)さん(53、寿北6)。興味があって学ぶうちに講師になり、「NLA易経推進協会」を設立。易経の教えを広げている。
易経は中国儒教の経典「四書五経」の一つ。時代や環境が変化する中で起こる出来事の解決策になる知恵が記されていて、人生学や帝王学の書とされる。渋沢栄一も学んだといわれ、近年、注目度が高まっている。
環境に優しい化粧品などを開発する会社を経営する木澤さん。松本と名古屋を行き来して仕事をしていたが、2009年、拠点を出身地の松本に置いた。
先祖に儒学者が多く、江戸時代に松本藩で儒学を教えていたことを知る。「自分が易をやるのは、そういうご縁なんだ」と感じている。
易は成功哲学書 結果の活用大事
「易」というと長い棒(筮竹(ぜいちく))などを使った占いを思い浮かべる人が多いだろう。だが、「易教」の内容は、実は人間が生きていくための指針や教訓の書とされている。
木澤勝誠さんは、化粧品の会社「トランザクト」を経営する中で幾つもの選択の場面に直面し、易経にたどり着いた。2004年ごろからセミナーに参加したり、本を読んだりして独学で学び、自分が悩んだ時に易を使うようになった。
それを知った知人から「占って」と頼まれ、初めて人を占ったのが07年。すると口コミでうわさが広がり人をみるようになった。
やがて「占いの仕方」「本の読み方」を教えてほしい、と要望が続いた。半年ほどは断っていたが、ついに断り切れず、当時仕事で通っていた名古屋で講座を始めた。
気付けば「易教のスペシャリスト」と呼ばれ、県内外で講座を開くように。易とタロットカードを組み合わせたカードや、易占いカードの手引きなどの監修も頼まれる存在になった。
「易は成功哲学書だと思う。占いの結果をどう活用するかが大事」と木澤さん。易は、それまで学んでいた哲学や心理学とリンクする部分も多く、子どもや学生、スポーツ選手、経営者などに「うまくいかない時は、成長するために変化しないといけない時。技術的なことだけじゃなく、心の部分も大切」と伝えている。
占いをする人はいるが、やり方を教える人が少ない。講座を頼まれる機会が増えたことから「NLA易経推進協会」を設立。教える人の養成にも取り組んでいる。「易を学び、良い人、正しい心の人が増えたら良い世の中になるのでは」と、易教の学びを多くの人に伝えている。
江戸期の先祖は松本藩の儒学者
木澤家は教育者の家系で、後に松商学園となる松本戊戌(ぼじゅつ)商業学校の創立者、木澤鶴人が曽祖父に当たる。
ふと、父や祖母が「先祖は松本城で何かを教えていた偉い人だった」とよく言っていたことを思い出した。調べてみると、江戸末期の儒学者の木澤天童が直系の先祖だと知った。分家には明治時代の儒学者の木澤成粛がいた。
中世の武将・楠木正成の末裔(まつえい)でもあり、木澤さんは正成を祭った湊川神社(神戸市)の楠木同族会にも属している。
英会話塾の経営もしている木澤さん。先祖に導かれたように易経を教えるようになった。今後は「家に残るご先祖が書き残した古い書物や家系図を読み解いてみたい」と考えている。
木澤さんへの問い合わせはホームページ=こちら=から。