小説の魅力を若者に 趣味で執筆楽しむ太谷美絵さん

「小説も意外と楽しいぞ、割とエンタメだぞ、と知ってほしい」。大町市の「塩の道ちょうじや」で働く太谷美絵さん(29、同市)は、趣味で小説を書いている。若い世代や苦手に思う人にも読んでほしいと難解な語句を使わず、登場人物による会話を多用した作品は読みやすい。短編はインスタグラム=こちら=などでも発表している。

インスタで短編の発信も

作家名は「タニシ」。内容はヒューマンドラマや青春物、ファンタジーなど多彩だ。ちょっとした待ち時間や移動の合間にも読んでほしいと、5000~8000字ほどの短いものが多い。「本来は縦書き・明朝体の書籍で届けたい」(太谷さん)というが、「横書き・ゴシック体」のインスタでも発信し、読み手の幅を広げている。

太谷さんは同市出身。幼い頃から本を読むのも物語を書くのも好きだった。若者にアプローチするようになったきっかけは、高校の朝読書の時間。マンガは読むが小説は苦手という友人に「私が短いのを書いてくるから読んで」と働きかけた。
大学では文芸サークルを立ち上げ、ツイッター(現X)のフォロワーともグループをつくって活動し、個人でも創作。
卒業後に帰郷して執筆を続ける中で、過去の作品に続編を加えたヒューマンドラマ3編を1冊にまとめ、2022年8月に自費出版。当時住んでいたシェアハウスのマルシェで販売すると反応が良く、翌年3月のマルシェに合わせて別の3編を収録した2冊目を出した。

昨年は「安曇野文芸の会」が公募した「第2回安曇野文芸賞」で、短編小説が佳作に選ばれた。読者から反響があったり、感想をもらったりすると「『私の言葉、届いているじゃん』とうれしくなる」と太谷さん。
読み手に刺激を与えられるのも喜びだが、「押し付けでなく、気軽に楽しんでもらえたら」。そう願い、次なる創作に意欲を燃やしている。