歴史に思いはせ 1月11、12日 催し多彩に松本あめ市

松本市の新春行事「松本あめ市」は1月11、12日、市の中心市街地一帯で開催される。全国のあめ販売やさまざまなイベントを予定。市立博物館(大手3)ではあめ市の歴史をたどる企画展が開かれている。

町人の活気が伝わる企画展

あめ市の起源は諸説あるが、戦国時代に越後の上杉謙信が敵対する武田信玄の領地に送った塩(義塩)が松本に着いたのが1月11日とされる。江戸時代に現在の深志神社(深志3)の神主が、同日の市始めの行事で塩を売ったことから「塩市」と呼ばれ、後に屋台であめが売られるようになり「あめ市」として定着していったと伝わる。
今年も福あめや福だるまの販売、七福神があめを配りながら練り歩く「時代行列」、ステージ発表など、多彩な催しが繰り広げられる。
市立博物館1階市民交流スペースでは、「息づく町人と松本あめ市」をテーマにしたパネルを展示している=写真上。あめ市と松本に暮らす人々の関わりに焦点を当てた、歴史資料や古い写真などが並ぶ。
神輿渡御(みこしとぎょ)の場面が描かれた江戸時代の「市神祭之図」では、ぎっしりと集まった町人や若者の活気ある様子がうかがえる。子どもたちによる縁起物販売は商家の子どもに商いを覚えさせるために始まったとされ、昭和30年代の子どもの写真なども展示している。
企画を担当した時計博物館学芸員の小林駿さん(29)は「あめ市は上流階級ではなく町人がつくり上げ大切に受け継いできた祭り。当時の生活感や盛り上がりなど、担ってきた人たちに注目して見てほしい」と話す。
3階常設展示室には、あめ市の関連資料や高さ4メートルの宝船など充実した展示があり、企画展と合わせて楽しめる=写真下
企画展は31日まで。無料(常設展は有料)。TEL0263・32・0133


全国各地のあめ70種並ぶ 中町で博覧会・即売会

「全国あめ博覧会・即売会」は中町・蔵シック館前の広場で。松本市内のあめ12種と全国各地から集めた多様なあめ70種が並ぶ。
懐かしい風味の金太郎あめや北海道のバターあめ、料理にも使えるボトル入りの水あめ、五角形の箱に入った合格あめなど、バラエティーに富んだ品は見るだけでも楽しい。
広場ではあめ細工職人による実演販売やあめすくいなどもある。中町商店街振興組合の花岡由梨理事長(43)は「全国各地のあめがそろうので、旅行気分で好きなものを見つけてもらえたら」と来場を呼びかける。
両日午前10時~午後3時(売り切れ次第終了)。同組合TEL0263・36・1421