パレスチナ・ガザ 困窮の画家たちへ支援を「戦争と闘う美術の力」展 松本でPHAP代表上條さんギャラリートーク

信州イスラーム世界勉強会(事務局・松本市)とPHAP(パレスチナのハートアートプロジェクト)は、ガザ地区の画家や難民キャンプの子どもたちの作品を展示する「戦争と闘う美術の力パレスチナに光はあるか」を12月19~22日、松本市美術館市民ギャラリーで開いた。PHAP代表の上條陽子さん(87、相模原市)がギャラリートークで、「イスラエルの侵攻で画廊も作品も壊された困窮の画家たちを助けたい」と訴えた。
上條さんは1978年、若手登龍門「安井賞」を女性で初めて受けた現代美術家。99年、画家の夫・明吉さん(故人、松本出身)の勧めでパレスチナを初訪問した。銃を構えるイスラエル兵の監視下で、子どもたちが絵を描くことなく育つ様子に心を痛めた。
「絵の楽しみを教えたい」と2001年にPHAPを開始。画材を持参し約10年間、レバノンのパレスチナ難民キャンプに通った。「思ったように描きなさい」と指導し、子どもたちは生き生きとした絵を描いた。パレスチナ国旗の色(赤、白、緑など)を使うと逮捕するというイスラエルの理不尽さに腹が立った。「日本で紹介するから描きなさい」と励ました。10年後にシリア内戦が起き、上條さん自身は渡航できなくなった。
19年には、奇跡的に画家になった3人の青年を日本に招き、各地で展覧会を開いた。帰国する時彼らは「日本の自由を持って帰りたい」と言った。
日本には、PHAPが預かった3人の作品が残された。2人はテント生活、1人はドバイに逃れ、日本で作品を売って生活費を得たいと希望。上條さんは「協力を」と呼びかけている。
作品展「パレスチナ・ガザの画家三人展」が1月18日まで、フクヤマ画廊(相模原市緑区橋本2の24の4TEL042・703・0002)で開かれている。